今回は、「過量服薬=オーバードース(OD)」の影響について整理したいと思います。
私は「向精神薬依存だった」と、「ある性被害サバイバーの話⑪」などで述べています。
ここであらためて、どんな影響があったか振り返りたいと思います。
過量服薬の状態
私の場合、「寝る前に6錠から8錠を服薬する」が規定量だったと思います。
これ自体も相当多く、強い薬でした。
主治医から「普通は翌日の夕方まで起きれないよ」といわれましたが、それでも眠れなかった。
完全なる「過覚醒」で、ウトウトすることもできなかったですし、眠れたときは酷い悪夢を見ました。
薬を飲むようになり、最初は少し効きましたが、耐性ができやすい体質で、
すぐに慣れてしまって効かなくなってしまったことも、薬の増量とODに繋がっていったと思います。
最初は「やっと薬で眠れる…」という安心感になっていたのに、
「病院でもらった薬を飲んでも眠れない!」となり、
「また眠れなかったらどうしよう…」と予期不安がどんどん膨らんで怪物のようになっていきました。
その不安から逃れるために薬を集めて大量に貯めて、日々「40錠~80錠」服薬するようになっていきました。
どうして錠数を覚えているかというと、変なところで細かくて、飲んだ薬は必ずメモしていたんです。
意識が飛んで分からなくても、「空き袋」などゴミが残りますから、翌日に数えていました。
過量服薬が及ぼす影響
私がODで一番困ったのは、過量服薬してから寝るまでの「異常行動」でした。
もちろん病院などに運ばれれば胃洗浄などあったかもしれませんが、
けいれんして倒れても家族は気付いてもスルーでした(詳しくは「ある性被害サバイバーの話⑮」で書いています)ので、
ODで病院に運ばれることはなかったです。
また、妙な知識はあって、「今の向精神薬をどれだけ飲んでも死なない」ことを知っていました。
なので、私は本当に、ただただ眠れないのが不安で怖くて仕方がなかっただけで、
どんどんODが悪化していってしまいました。
理性のブレーキがとれてしまう
私はずっと「向精神薬というものは気持ちを落ち着かせてくれる薬のはず。しかも寝る用だし」としか考えていませんでした。
ところが、ODすると、「少しだった悲しみや寂しさ、心配事がものすごく大きく強く襲ってくる」のです。
話ちがくない?!
逆なんじゃないの?!
っていう心境でした笑
そして、そういった強烈な負の感情と朦朧さがあいまって、行動化してしまうことを繰り返していました。
例えば、バイトの面接を受けていてまだ結果がきていないけれど催促するには早いという場合、普通だったら難なく待てます。
でもODして寝るまでにお店に電話しちゃったりとか。ロレツまわってないのに。
足元おぼつかないのに、閉店間際のファーストフードに自転車で行って、大量に買って帰るとか。事故が怖い。
一番多くて困ったのは先ほどのバイトの件もそうですが、「電話」ですね。
いろんな人に電話をかけておかしなこと言ったり、
もう関係がない人にかけたり、占いにかけてお金がかかったり、怪しい電話にかけたり。。。。
そして、そうやっているうちに、また薬を飲んでしまう…。
これは「本当は寂しかったのだ。電話をしたかったのだ」「食べ物が欲しかったのだ」ということではないのです。
本心ではない。だから怖い。
薬を飲んでいないときに、感情的な行動をとることとは全く意味が異なります。
有害行為でしかない!後で自己嫌悪するだけ!
後に知ったのですが、向精神薬は、適切な量であれば期待される効果を発揮できるけれど、
多量に服薬すると、「理性の抑止力が取り払われてしまう」そうです。
だから私のようになってしまう。
しかもそれは「薬物」によるものなので、「ブレーキがきかなくなっただけで本心」ということではないところが本当に救いようのない副作用です。
それにしても、酷いと過量服薬後にタクシーや電車を駆使して夜中にどっか出かけていくこともあったので、よく無事だったなぁと思います・・・。
異常に寒い
あと、私が当時すごく感じていたことに、「薬を飲むと異常に寒く感じる」ことでした。
これは冬に限らずでしたので気付きました。
真夏でも翌日寒さで震えました。
冬であると実際の気温以上に寒く感じていたと思います。
過量服薬をしていたので仕方がないと思いますが、余計に冬場のうつを酷くしていたと思います。
これは代謝を落とすからなのかなと思っています。
どんどんおかしく…
「ある性被害サバイバーの話⑬」などでも触れていますが、
日々の過量服薬は、うつ状態を悪化させ、果ては排泄もきちんとコントロールできなくなりました。
うつであると「思考力の低下」が症状としてありますが、
過量服薬により薬の作用によってさらに思考力の低下を招き、理性の抑止力がとれ、衝動的な行動をしてしまいます。
何事も、適量を守りたいですね…。
薬のメリット
今から振り返ると、過量服薬していた時期は明らかに精神疾患を発症していました。
そしてPTSDの症状の中でも「過覚醒」が著しく、重い不眠でした。
なので、あの時代を生きるために、薬に依存するのは必要だったのだろうと思っています。
薬の効果
心理士として病院で働くようになり、多くの患者さんと出会い、薬の有効性を知りました。
その上で、私は全く薬が効かなかったタイプだったのだと分かりました。
当時、睡眠薬だけでなく、抗うつ薬や抗不安薬、抗精神病薬も服薬していましたが、
本当に効かなかった。けれど、効く人もいます。
個人差があるものだということと、同じ作用でも数種類の薬がありますので、
苦しんでいる方がご自身に合うお薬や対処法を見つけられるといいなと思っています。
また、主治医を信頼できるかは大きいと思います。
薬の効果や副作用を率直に話せるかどうか、
「この人が処方したんだから用量を守って飲んでみよう」と思えるかなど。
私は、当時の主治医を疑っていたというより、
あのときは誰も信用できなかったのだと思います。
それが事態を悪化させたと思います。
薬の利点
私は本当に効きませんでしたが、でも、眠れることもありました。
薬を飲んで寝ると、「悪夢を見ない」ことが多かったです。それは服薬の利点でした。
今の状態
今はトラウマからはほぼ解放され、少なくとも「うつ病」になる時期はなくなり、
「健康ってこういう状態なのか!」と健やかに生きています笑
ただ、それでも不眠はしつこく残りました。そして、以前ほどではないですが、フラッシュバックもあります。
ただ、以前と違うことは、それで日々の生活が左右されることはなくなりました。
不眠に関して、臨床心理士になってから知って取り入れた対処に「漢方」があります。
「加味帰脾湯」や「酸棗仁湯」など、いくつか試しました。
私はもともと生理痛とPMSに悩まされていて、そこから漢方を知り、私には漢方は合っていました。
20年前の精神科や心療内科では漢方は処方されていませんでしたが、今はほとんどのクリニックで処方されています。
もちろん、向精神薬より即効性はありませんが、
私のようにすぐに薬の耐性ができてしまって効かなくなる人には漢方が飲めるようならお勧めです。
ご興味ある方は主治医に相談したり、漢方薬局で相談したりしてみてください。
医師の処方だと保険が適応されるので安く手に入れられます。
他にも「不眠症」の記事で認知行動療法をご紹介していますので、ご興味があればぜひ!
ただ、これは、ある程度状態が回復したケースに有用だと思います。
私は、今はこれをやって、「寝れなかったら寝室から出る!」ようにするとその後眠れることがあります。
↓押してくださると、寝子が今日ぐっすり眠れます!
いつも本当にありがとうございます!!
今回は、ODの体験をまとめました。
できれば、過量服薬はしないほうがいいですし、しても良いことはありません。
ただ、そんなことは皆わかっていることだと思います。
ではなぜするのか、そのことを医師や心理士、家族や友人でも誰でもいいので、
信頼できる人に自分のことを話せたらいいと思いますし、それが必要なのではないかと思っています。
私は今でも、当時大量に貯めた薬を持っています。
それは服用するためではありません。
「捨ててはいけない生きた証」のような存在だからです。
別の記事で書く予定ですが、同じように、犯罪被害も「忘れるわけにはいかない出来事」です。
もちろん、被害者の方がみな同じとは全く思っていません。
ただ、ものすごく嫌なことだからといって、「忘れられればいい」という単純なことではないということを
一被害者として表明したいと思っています。
今後も「ある性被害サバイバーの話」でエピソードや体験談を綴っていくのでどうぞよろしくお願いいたします。
次回は、「フルタイムパート退職後」のエピソードを綴っています。
続きはこちら→「ある性被害サバイバーの話34」
最後までお読みくださってありがとうございました!
またのお越しをお待ちしておりますm(__)m