「ある性被害サバイバーの話」ですが、
わたくし寝子の話しになります。
どうして自分の話をするかと言いますと、
心理の世界では、実際のケースを「事例検討」として
多くの心理士で共有し、学びます。
それは
「1つの事例には普遍的に役立つ多くの情報が含まれている」
いう鉄則があるからです。
この鉄則を信じて(笑)
私の被害体験と当時の心的過程をふりかえりながら、
心理学的考察を加えていきます。
心理職の人や知識がある方向けではなく、
一般の人に向けた内容ですので、
できるだけ簡潔にわかりやすく書くよう努めています。
モットー
知識は人を助ける
一般の方々の自己理解に少しでも役に立つ知見があればと。
私の1事例が何かの参考になれば幸いです。
◆フラッシュバッグや不快な思いにならないように気をつけていること
●被害の詳細な内容は書いていません
●短い「回想」をした後に「解説」することで、やみくもに不安にならないように努めています。
●できるだけサラっと読めるように努めています。
●それでも具合が悪くなることは当然ありますので、そのときはどうかご無理なさらず、そっと閉じてくださいね。
自己紹介
私は性犯罪被害に遭い
そのことがきっかけでカウンセラーになろうと思いました。
自分の辛い体験がきっかけとなり、
心理系や福祉系の職業を目指す人は少なくないですよね。
私もその1人でした。
「カウンセラーなんていう職業を知らない人生を歩みたかった…」と
普通のOLに憧れながら、カウンセラーを目指していきます。
一番病気が重かったころ、
「同じ経験をして回復した人に会ってみたい」と思いました。
「被害者の会」のような同じ体験をした人たちの集まりにも参加したことがあります。
とても支えられましたし良い経験でした。
ただ、「回復した人」は、思い出したくないのでそういうところには来ませんので、出会えませんでした。
当時はやっとネットが普及し始めたころで、今のようなSNSがなかったこともありました。
専門的な治療も行われていない時代で、「希望がほしい」と思っていました。
だからもし、私のように思う人がいたら、この記事が届けばいいなと密かに祈っています。
被害内容と回復過程の概要
私の性犯罪被害は2回です。
5歳のころに公園で遊んでいたら青年に連れて行かれたのが1回目。
中学2年の林間学校で男性教員に性的暴力を受けたのが2回目です。
ただ、私がPTSDを始めとしていろいろな精神疾患にかかり始めたのは、
2回目の被害から数年経った20歳前後からでした。
18歳ころから症状がじわじわ出始め、21歳ころに初めて精神科を受診。
その後、PTSD含め、うつやパニック障害など、
いくつかの精神疾患になりました。
それから時を経て、私なりにがんばって回復しました。
カウンセリングなどの専門的治療は受けていません。
現在は、かつてPTSDの症状の1つである『未来の短縮化』によって、
生きていると思わなかった40代を生きています。
『未来の短縮化』とは、PTSDの症状の1つです。
フラッシュバックや過覚醒に比べると目立たないので気づきにくいですが、多くの方に見受けられます。
「性格だ」とあきらめているような自分の考え方が、もしかしたら症状の1つであり、今後変わっていけるかもしれません。
↓PTSDの『未来の短縮化』について以前のツイートです。ご参考まで♪
PTSDの症状の1つに『未来の短縮化』がある。積極的に死のうとは思わないけれど、危険だらけのこの世でまともな仕事や家族を持てる気がしないというもの。将来を想定できないというのはまた新たなリスクを生んでしまう…。こういう症状があると気づくだけでも防げることがあると思って。。#PTSD
— 寝子 (@necononegot) January 16, 2021
自分の事例を解説するにあたっては、
「有名な症状以外のトラウマ反応」に重きをおいています。
「PTSD」や「複雑性PTSD」という言葉は、かなり認知されていて、
代表的な症状である「フラッシュバック」や「解離」なども有名ですよね。
ただ、「未来の短縮化」や「軽度の解離」などはあまり知られていないけれど、
多くの人にみられます。
また、例えば、「再演」や「躁的防衛」などといった、「症状」としては取り上げられないけれど、
トラウマ反応としてよく認められる状態があります。
そういった、有名ではないけれどとても大事なトラウマ反応に焦点をあてています。
そうすることで、どなたかの自己理解の助けになれば幸いです。
そして、自分の体験だけではなく、
臨床心理士としてさまざまな患者さんのカウンセリングをして10年以上が経ちました。
なので、私自身の被害体験と心理士としての知識および経験を合わせて振り返ることで、
どなたかの役に立てば嬉しいです。
↓ぽちっと押してくださるとさらに傷が癒えます!
ということで、これから時系列で振り返っていきたいと思います。
次回は、トラウマからの回復に大きな影響を与える家族について、
簡単にまとめています。「ある性被害サバイバーの話② ~家庭背景~」
どうぞよろしくお願いいたします。