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性被害サバイバーの1事例

ある性被害サバイバーの話⑦ ~中3。学校復帰~

2021年3月8日

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回想 : 学校復帰

中3になり、初めは「普通に学校にいける!」「外を歩ける!」ことに強い幸福感を抱きます。

「何をしていても幸せ」状態。

しかし、それも長くは続かず、すぐに情緒不安定となり、

幸せそうに見える同級生を妬む気持ちが強くなります。

そしてそんな自分がすごく嫌になります。

加えて、転校する話しもあったのに転校しなかったことも悔やんだりします。

 

解説 : 躁的防衛と抑うつ

学校に復帰したはじめのテンションは「躁的防衛」であったのかもしれません。

とにかく「中3で受験なんだから学校に行かないと人生が終わる」と内心は思い詰めていました。

当時はフリースクールなんて皆無だったのです。

「とにかく学校に行かないと高校に行けない」という強い焦りを抱えていました。

学校に通うためにハイテンションになっていたのかもしれないなと振り返っています。

そうだとすると、直後の不安定さは「うつ転」だと解釈できますね。

当然の変化だと心理士としては客観視できますが、当時は本当に辛かったです…。

 

ポイント

躁的防衛とは、抱えがたいストレスをないことにするために、

明るく元気に振舞おうとする無意識の作用です。

「無理して明るく」ですね。

短期的な例では、「不慣れな環境で心の奥では緊張や不安や居心地の悪さを抱えているけれど、

まったくそういった負の気持ちがないかのように、ハイテンションで振舞う」というようなケース。

躁的防衛は、上記の例のように一時であれば適切な対処になることが多いです。

けれども、これが長期に渡って、「自分の内面にある負の感情を否定し続けて、明るく元気でい続ける」と、

ときには周りを巻き込むほどに厄介な人になってしまうことがあります。

長期で躁的防衛している場合、ぱっと見は、よく話し、活動的で明るく元気な印象です。

けれども心の奥底には否定し続けている本心がありますので、実際は空虚です。

誰かと比べて「あの人より私のほうがすごい」というように、

攻撃的で人を見下すことで自分の優位性を保とうとしてしまうことが普通になってしまうことがあります。

本人は、「躁的防衛」であると気づいていませんので周りはどうすることもできません。

人が、自分も周りもそれなりに安定して過ごすには、「自分の内面と向き合う」ことは、極めて重要であると思います。

 

このときの「躁的防衛」は適切な対応だったと思います。

通常、不登校から学校復帰するときはものすごい不安で怖いものです。

普通のテンションでいけるわけがありません。

だから、無意識が助けてくれたのだと感謝ですね。

 

回想:負の感情でいっぱいに

すぐに「うつ転」し、友人を心の中で妬む自分が嫌で嫌で仕方がありませんでした。

そして、ふと鏡を見たときに自分の顔が醜くなっていることに気がつきました。

それで私は「加害者に対してたとえ正当な怒りや憎しみであってもずっと心に思っていると外見に出るんだ・・・」と思います。

それで、「カウンセラーになるんだから自分が不幸なときでも友人の幸せを心から願える人間になりたい」

「加害者に対しても怒りや憎しみをもつのは止めよう」と思います。

 

解説

当時の写真をみると、確かに表情が暗いというかなんというか、今でも見たくはありません。

でも、「そんなに気にすること無いよ。妬んだっていいんだよ。当たり前だよ」

と声をかけてあげたくなりますね笑。

このときは、高校受験すること、

そして無意識レベルではなんとか症状を表面化させないようにと必死だったのだと思います。

症状が表面化してしまったら高校受験できず、

当時の私にとっては「本当に加害者に人生狂わされた」ことになってしまいます。

また、どこか心の清廉さを求めるあたりは思春期特有だったのかもしれないと思います。

大人だったら外見が多少どうなろうがカウンセラーだろうが、もっと堂々と憎むような気がします。

 

回想:しんどいながらも登校しつづける

「人生狂わされた。でもこれ以上狂わされてたまるか」

という気持ちも持っていたように思います。

そして、この内面にうごめく気持ちを当然のことながら誰にも話せません。

話せないというか話すという発想がなかった。

 

解説:「話せない」ことがもたらす孤独

ここで押えておきたいポイントは、「人に話せばよかった」ということを言いたいのではなく、

「言えないことは孤独感を募らせる」ということです。

心の内を誰にも話せないでいると、

「自分は誰にもわかってもらえない存在」

という孤独感孤立無援感

知らず知らず募らせてしまう原因の1つになると思います。

 

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次回、受験本番の時期を迎えつつ、

解離症状やフラッシュバックも出てきますが、

当時の私はそれが「症状」であるとは全く知りませんでした。

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