今回は、適応障害やうつ病といった心の病気になる方に多く見受けられる
「過剰適応」という状態についてご紹介したいと思います。
まず「過剰適応」は病名ではありません。
状態を示す言葉です。
「過剰適応」という状態を一言で表すと、「がんばり過ぎている」状態です。
「無理をし続けることが通常」になっているので、
行き過ぎるとうつ病などを引き起こしてしまいます。
ご自分が「がんばり過ぎてはいないか」ぜひ振り返っていただければと思います。
目次
過剰適応とは
「過剰適応」とは、自分の許容範囲を超えてまでその場に適応することをいいます。
いわゆる「良い子」に多く、その場の雰囲気を壊すことを非常に恐れ、場を和ませたり、人一倍仕事をこなしたり、
過大な負担を自身に課して、環境に適応しようとする状態をいいます。
過剰適応の特徴
本人はすごくツライのですが、周りには滅多に気づかれません。
なので、助けが得られずに、さらにがんばってどんどん過労状態になることがあります。
また、過剰適応の方は、自分がツライということが周りに知られることも罪悪感を感じるため、
ツラさを隠して、元気に明るく振舞います。
そして実際に、周りには「いつも明るくて良い人」に映ります。
しかし、本人の内面は本当は限界であるため、
行き過ぎると適応障害やうつ病を発症してしまうことも少なくありません。
一度「良い人」になると変えられない
自分の内面のしんどさを隠し、
周囲にも「いつも文句を言わずに働いてくれる良い人」と認知されると、そのイメージを壊すことが難しくなります。
場合によっては、ちょっとツラそうにして「あれ?いつもと違うね」と指摘されたことに傷ついてしまい、もっと取り繕おうとすることも多々あります。
このような過程を経て、さらに「過剰適応」が強化、継続してしまう傾向があります。
根本的な自己評価の低さ
過剰適応の方は、文字通り、「過剰」なまでに環境に「適応」できる能力があります。
さらに、つらい内面を隠すこともできる。
にも関わらず、本人は「自分はできていない」と思っており、自己評価がとても低いことが特徴です。
だからこそ、つらいことも「こんなことでツライなんてダメだ」「他の人はもっとできるはずだ」と思ってしまい、
抱え込んでしまうのだと思います。
過剰適応になりがちな人とは
過剰適応は、これまで述べたように「実際は適応できている」という現実に対し
「自分はできていない。がんばり続けないといけない」という自己評価の低さというギャップを持っています。
過剰適応の方の社会的評価は高いことが一般的です。
現実は「適応できている」のに、自己認識では「できていない」となっている。
自己評価が低い
実際はできていても「自分はできていない」と思うほど自己評価が低いことが、
「心身を壊すほどがんばり過ぎる」原因になっていることがとても多いです。
機能不全家庭
アダルトチルドレンに代表される機能不全家庭で育つと、
過剰適応になる可能性が高いと思います。
機能不全家庭で育つと、「年齢相応の甘えが許されなかった」ことが多いです。
それにより、常に背伸びをして親の機嫌を伺うなど、気を張ってがんばっていることが通常になりがちです。
「他人の不機嫌さに敏感」であったり、「自分は普通と違うのではないか」という意識を持っていることが多いです。
そのため、場の空気を温和に保とうとがんばったり、自分よりも他人を優先しがちであると思います。
加えて、その状態が“普通”になるので、ご本人も「頑張っている」とは思っていないし、
「無理をしている」とも自覚できない根深さがあるケースも少なくありません。
精神疾患を隠すため
「過剰適応」状態になる人の中には、発達障害やうつ病などの何らかの精神疾患を抱えていて
それを見せないように振舞うことで「過剰適応」になり、「普通」に見えていても
本人は「健康で元気な人」よりはるかに無理をして「普通」に見せていることがあります。
このような場合、周囲の対応として不適切なことは、
がんばってできたことを「普通にできる」と判断し、できないときに「努力が足りない」と根性論を言ってしまったり、
あるいは「できるんだから(障害や病気自体が)大したことない」と片付けてしまうことです。
できたときは「相当がんばって」いるのであって、「相当がんばれる」ためには本人もコントロールできない条件が整った場合に限ります。
過剰適応そのものは、本人はつらさを見せないことが多いので周囲が気付くことができないのも無理がない面があります。
しかし、「うつ病」ですとか「ASD」ですとか、本人が自分の病気や障害について明かしている場合には、
関わる人たちには上記の点を理解していただけると本人はとても助かるのではないかと思います。
対処法
対処法は、すぐに変わろうとするよりも、
まず自分の特徴に気づく。
長年の思考のクセや振舞い方は、そうすぐに変えられませんし、
「自己評価の低さ」や「自分はがんばっていない」と思うことが根付いているということは、
幼少期の家庭環境であったり、根深い苦しみを抱えていることも珍しくありません。
「認知の歪み」の記事でもお伝えしましたが、
「過剰適応」も「悪いこと」ではないのです。ただ、自分にとってはストレスが多くしんどい…。
「認知の歪み」と同様、「過剰適応」も、ご本人は「まだまだ頑張りが足りない」と思っていることが多く、
「がんばり過ぎている」とは思っていないことが多いです。
なので、まず気づくだけで、流れは少し変わるのではないかと思います。
これが他人だったらどう声をかける?
「過剰適応」傾向の場合、自分のこととなるとなかなか厳しさから抜けません。
ただそれは、ある意味で客観性を失っているということであります。
なので、「今の自分の状態が友人であったら、その友人になんてアドバイスする?」と考えてみてください。
その答えが、そのときの自分にとって必要な対処であることがほとんどです。
表情と気持ちはあっていますか?
過剰適応の場合、「しんどいけれど笑顔でいる」というような、
「気持ちと表情が一致していない状態」が続いていることが多いです。
これはけっこうストレスになるものです。
大人ですので、自分の機嫌をそのまま外に出したほうがいいとは思いません。
でも、あまりに仕事が大変であったり、傷つくことを言われたりしたときに、なんでもないような表情で「大丈夫」と振舞っていませんか?
嫌な事や断りたいとき、「真顔」になってみる
笑顔で対応することは社会人としては素晴らしいです。
ただ、周囲にはつらさが伝わらず「あの人はいつもニコニコしているし文句も言わないから大丈夫だ」と頼られすぎてしまうことがあります。
だからたまには 真顔になる という方法もありかと。
「ツライ」「嫌だ」「傷ついた」ということを顔に出すことは外では難しいことが多いので、
せめて「作り笑い」を止めて「真顔」になって返事するまでちょっと間を空けてみる。
それだけで、相手は気づきますし、自分のことをちょっと大切にできるかもしれません。
眠れる・美味しい・楽しい
「どこからが危険水域か」というのは判断が難しいですよね。
そこで「がんばり過ぎの危険水域」は、
「眠れる・美味しい・楽しい」ができなくなってきたらヤバイ。
本気で休養を考えないといけないかもしれません。
適応障害やうつ病の入り口では、ほとんどのケースで、睡眠障害が出ます。
なので、「最近よく眠れていないな」という状態が続いていたら、
「ストレスが多いのだな。がんばり過ぎなのかも」と自分に気づいてあげてほしいなと思います。
続いて、「その日に食べたい物が浮かばない」「以前に楽しめていたことが楽しめない」という状態になっていたら、
本当に疲れすぎているかもしれません。
気付かないと労われないので、ぜひ、自分に関心をもって、ねぎらってほしいなと思います。
環境を見直す
過剰適応は、文字通り「過剰なまでに適応できる」ということなので、能力でもあるのです。
なので、決して悪い特性ではない。
ただ、環境が大事です。
この記事で述べたように、過剰適応になりがちな場合は、自信がなかったり、自己評価が低すぎたりといった、
そうすぐには変えることは難しい性格傾向があることが多いです。
ならば、環境をまず見直して欲しい。
自己評価が低く、自分に厳しい人ほど、劣悪な環境でもがんばって組織に貢献していることが多いです。
でも、せっかくの能力、健康でいられる環境で発揮したいですよね。
自分に関心を向けるクセをつけよう
心の病気は、本当に早期発見が重要です。これは体の病気で考えても理解できますよね。
なので、ぜひ、「今日はどんな調子かな?」「大丈夫かい?」と、
大事な友人に声をかけるように自分に聞いてあげるクセをつけていけると、
いろんな自分を知っていけて、自分と仲良くできるかもしれません。
そして疲れや不調はできるだけ軽いうちにケアできるとベストですね。
↓ぽちっと押してくださると寝子が「環境が優しい!!」と喜びます!!
↑押してくださると1回が1票になるのですが、別ウィンドウが出るので、めんどうなのに、みなさま押してくださって、
もう世界って優しいんだな!!!!
ありがとうございます!!(大泣)
「環境のストレスによって起きる心の病」に『適応障害』があります。
『適応障害』の記事もありますので、ご興味があればぜひ。
悪化すると危険ですので、心身の不調が出ていたら、早めに手当てをしてほしいと思います。
次回は、「ある性被害サバイバーの話23」の続きをアップしました!
こちらです→「ある性被害サバイバーの話24」
最後までお読みくださって本当にありがとうございましたm(__)m