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【認知療法】「認知の歪み」とは?!

2021年4月16日

ネットやツイッターで「認知の歪み」という言葉は聞いた事がある人が多いかと思います。

「当てはまる人はマズイ」みたいなトーンで。

 

そこで、心理臨床の世界でもすごく有名な「認知療法」「認知の歪み」について

わかりやすく解説したいと思います。

 

認知の歪みとは?

認知療法では、「物事に対する捉え方」を「認知」と呼び、

その「物事に対する捉え方(認知)」が「偏っている」あるいは「非適応的」である場合を「歪み」と表現しています。

「認知の歪み」と聞くと、「歪み」という強い表現から、

「自分の何かがおかしいのか」と思ってしまうことがありますが、そんなことありません。

ただ、心の健康を考えたとき、「ストレスを溜めやすい捉え方かもね」という思考を「認知の歪み」といいます。

 

用語の変更

最近は「認知の歪み」という表記が適切ではないとされ、使用されなくなっています。

代わりに「非機能的思考」という用語がポピュラーになっていく方向にあります。

 

心理技法の1つ

「認知の歪み」とは、そもそもは、認知行動療法の「認知」の部分に特化した、

「認知療法」という心理療法の骨格となる理論であり、治療対象であります。

 

認知療法の理論

認知療法の理論とは、

出来事が感情を引き起こすのではなく、出来事に対する捉え方(認知)が感情を引き起こす」と考えます。

「よって、出来事や感情を変えるのではなく、捉え方を変えれば感情は変わる」という理論です。

具体的な例を挙げながら理解していきます。

 

例)挨拶したが返事がなかった

 

このとき、どういう気持ちになるでしょうか?

以下のA・B・C、それぞれの気持ちになったと仮定してみます。

感情A)悲しい

感情B)腹立たしい

感情C)穏やか。(変化なし)

 

AからCの気持ちになったと想像して、なぜその気持ちになったか考えてみましょう。

 

では、1つ1つみていきます。

感情A)悲しい

 

悲しいと思ったということは「挨拶が返ってこなかった」出来事を

「無視された」あるいは「嫌われているのかな」と捉えたとしたら、「悲しい」と思いますよね。

 

認知療法でいう「認知」の部分は、この例の「無視された」「嫌われているのかな」という部分を指しています。

 

同様にBとCもみていきます。

感情B)腹立たしい

 

「挨拶したらちゃんと返すべきだ」と考えていたとしたら、

返されなかったら「腹立たしい」という感情になることが多いかもしれませんね。

 

感情C)穏やか(変化なし)

「聞こえなかったのかな」「忙しかったのかな」と、

特に誰のせいにも思わなかったとしたら、返事が返ってこなくても「穏やか」でいられるでしょう。

 

つまり、「出来事をネガティブに捉えすぎているとしたら、その捉え方を変えましょう」というのが認知療法であり、

ストレスを感じる捉え方を「認知の歪み」と言っています。

 

「認知の歪み」の代表例

ストレスがかかると考えられている「認知の歪み」の代表例がこちら↓

根拠のない決めつけ 証拠がないのに極端な判断をし、それがまるで真実かのように思い込んでしまうこと

例)友人たちがヒソヒソ話をしていた。自分の悪口を言っているのだ。

白か黒かの思考 グレー(中間・あいまい)の思考がなく、物事を「白か黒か」の両極で考える

例)「完璧でなければダメ」「敵か味方が」

過度の一般化 少しの事実だけで全て同様になるという思考

例)「人と仲良くなろうとしてもなれなかったから、自分は誰とも仲良くなれないのだ」

過大解釈・過小解釈 自分の失敗や悪い事柄は過大に取り入れ、自分の成功や良さには目を向けないこと

例)人から否定される言葉は信じ込み、褒められると「お世辞だ」と否定する。

すべき思考 「こうすべきだ」「すべきではない」という思考

例)「大人なのだから感情的になるべきではない」と思い、どんなときでも感情を抑えて行動する。

自己関連づけ 何か悪いことが起きると「自分のせいだ」と考えてしまうこと。

例)誰かが不機嫌でいたら「私が何か悪いことをしたからだ」と自分が原因だと考えてしまう。

レッテル貼り 「過度の一般化」の進行型。少ない情報で固定したイメージをあてはめること。

例)「自分はダメな人間だ」「自分は他人から好かれる人間ではない」など、感情的に固定イメージをもつ。

 

みなさまも聞いた事があるかなと思う「白か黒か思考」や「過度の一般化」「すべき思考」あたりは、

ストレスを抱えやすい捉え方として有名ですね。

また、これだけが『認知の歪み』ではありません。

実際のカウンセリングでは、その人が独自に持っている「思考のクセ」を明らかにしていきます。

なので、この表にあてはまらない思考も丁寧に知っていきたいですね。

 

そのままでもいい

「認知の歪み」と聞くと、「自分の考え方がおかしいのか」と捉えてしまうことがありますが、

決してそのような意味ではありません。

「その捉え方だとしんどいかもしれないから、少し変えてみませんか?」というのが認知療法です。

仮にストレスが多くでも、その人の信念として「白黒思考を貫くぞ!」ということであれば

もちろん構わないのです。

 

その人の「苦しみ」になっていたら

『認知の歪み』で、

その人の「らしさ」や「生き方」なら

『信念』と呼ぶのかもしれないなと思ったりしています。

 

「変えないと」は自己否定クセかも

気をつけたいなと思うのは、「認知の歪み」に限らず、

なんであろうと自分に気づいたことをすぐ「直そう」とするのは、自己否定と紙一重です。

「自己否定」こそが「自動思考」で「認知の歪み」であるかもしれません。

だから、自分に気づいた後にすぐ直そうとするのではなく、

ちょっとそれを泳がせるくらいの自分に対する寛容さを大事にしたいです。

 

気づき、選ぶこと

「認知の歪み」に限らず、大事なことは、

「自分に気づき、生き方を選べるようになること」だと思います。

 

例えば、「認知の歪み」で代表的な「白黒思考」ですが、

認知療法では「グレーを持てるように」とするのが一般的です。

「0か100か」ではなく「70点でも良くない?」という感じです。

この例を参考に、「気づくこと」「選ぶこと」について考えたいと思います。

 

自分の考え方のクセに気づく

けっこう自分の考え方のクセに気づいていないことは多いですよね。

気づかずに「嫌われている」「いつも失敗する」等と考えてしまっている。

そうすると、それが「不適切な捉え方」であって事実とは異なっていても、

本人にはそれが事実であると認知し、自己否定などを強めてしまします。

なので、まず、さきほどの「白黒思考」の例でいうと、

「ああ、私は完ぺき主義すぎてあまりに自分に厳しかったのだな」と気づく。

まず気づき、自分を知ることが何よりも大事だと思います。

 

そして、「気付く」には、トレーニングが必要です。

何かの出来事でモヤモヤしたら、ぜひ「出来事」と「感情」を書き出してみて、

「出来事」と「感情」の間に起きた「自動思考」を見つけてみましょう。

それが場合によっては『認知の歪み』で、

「ああ、また他人の不機嫌さを自分のせいだと『自己関連付け』していた。」と気付けたら

それだけで苦しみが軽くなり、思考のクセが緩和されると思います。

 

ネットで検索するとワークシートがいろいろ出てきますので、それを使用してもいいかと思います。

このようなシートに書き込んで整理する方法を「コラム法」といいます。

「認知療法やってみたい」という方は、↑クリックして印刷して試してみるのもいいかもしれません。

 

しっかり取り組むならこちらの記事で紹介しているようなワークブックを1冊購入すると便利だと思います。

 

変えるかそのままか選ぶ

気づくと、その後は「選択できる」段階に入ることができます。

大事なことは、ストレスがあろうとなかろうと、

その人が自分の意志でそれなりに納得して歩いていくことです。

なので、気づかないと選べないので、まず自分に気づくこと。

そのあとで、例えば「白黒思考」があったなら、それを

「なるべくグレーに考えられるようになったら生きやすい」という方向にいくか

「白黒思考は自分の個性だ。変えずに生きてく」と歩いていくか。

 

それぞれの特性や影響、ストレスや自分らしさを考えて、自分に合う心を持ちたいですね。

 

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今回は、「認知療法」の「認知の歪み」について解説しました!

「認知の歪み」と一緒に出てくることの多い「自動思考」や「スキーマ」については

こちらの記事で説明しています。

今後も役立ちそうな心理学を解説していきます。

次回は「ある性被害サバイバーの話」の続きになります。

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