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心理豆知識

【解決志向アプローチ②】自分のリソースを見つけよう! ~ポジティブな心理技法~

 

今回は、「ポジティブな心理技法」第2弾をご紹介したいと思います。

 

「解決志向アプローチ①」の記事で「ミラクル・クエスチョン」と「例外の発見」についてご紹介しました。

この2つは斬新でポジティブです。

 

今回ご紹介する技法は、前回の「ミラクル・クエスチョン」や「例外の発見」に続き、

より日常的に使用できる上に、長い間苦しみを抱えているという場合にも

ご自分のリソース(資源)に気付けるきっかけになる技法です。

 

解決技法アプローチ

「解決志向アプローチ①」の記事で述べたように、

「解決技法アプローチ」では、

原因や背景を追究せず「少し先の未来をより良くする」ことに焦点づけます。

 

そして何よりも「ポジティブな側面」を非常に重要視します。

 

特に自己否定が強くネガティブな面に目がいってしまう場合や精神疾患でありますと、

どうしても「症状」などの「マイナスの軽減」が必要になるために、

苦しいことに向き合うことや、思考や行動を修正することなどが必要になります。

 

それは非常に意味があり有効であります。

 

ただ、効果があると同時にかなりの負担を伴います

なかなか効果が感じられないような場合には、

自己否定感や疲労感や回復が果てしなく遠く感じてしまうなど、

副作用のようなしんどさを伴います

 

そんなときに、「解決技法アプローチ」のポジティブな見方を取り入れることはとても有効です。

 

かつ、病気でなくても「解決技法アプローチ」の技法は普段から使用できる心強い視点です。

 

詳しくは「解決技法アプローチ①」の記事でご説明しています。

 

この記事では、

「サバイバル・クエスチョン」

「スケーリング・クエスチョン」

「タイムマシン・クエスチョン」

この3つをご紹介したいと思います。

 

サバイバル・クエスチョン

サバイバル・クエスチョンとは「勇気づけの質問」といわれ、

苦しみや困難を抱えている人を勇気づける質問法です。

 

前回ご紹介した「ミラクル・クエスチョン」はとても面白いですし、「あり得ない返答でいい」のです。

ただ、それでも浮かばないことがありますし、質問内容が少し複雑であることや、

「どうなりたいか分からない」という状態になっていることは珍しくありません。

「どうなりたい?」と聞かれても困ってしまうこともあります。

 

そんなときに、「サバイバル・クエスチョン」をすることで「今まで自分ができていたこと」に気付くことができます。

 

「できていること」に気付く

人は、何らかの困難を抱えたり、それを誰かに相談するときは、「できない」「どうしよう」と「新しい対処をしなければ」となりがちであると思います。

そんなときに「サバイバル・クエスチョン」をすることで、

既に対処スキルを持っている」と気付くことができます。

代表的な質問内容が以下です。

 

そのような苦しい状態でよくここまでやってこられましたね

今まで投げ出さずにやってこられたのはなぜか、教えてください

 

こう質問することで、自分への労いや肯定的な気持ちや自信にも繋がります

 

もう少し具体的にしてみます。

 

例えば「不安が強くて外出できない」という悩みを抱えていたとき

 

今までどうしても外出が必要なときはどうしていましたか?

 

と聞いてみます。

 

そうすると、例えば

 

・必要な買い物は家族に頼んでいた

ネット通販で買っていた

・そういえば、今は少し遠くの場所には不安が強くて行けないけれど、

近所のスーパーには行ける。以前は近所のスーパーもいけなかった

そんなに不安にならない日に行っている。(「できないとき」だけに注目していたけれど、実際には「できるとき」が既にある

 

等という「スキル」や「実績」が返答となります。

自分が行っている対処や、実は以前よりできることが増えていたことに気付くことができます。

 

人はどうしても「目の前の困難」に頭がいっぱいになってしまいます。

けれども、実は過去から今までちゃんと進んでいて、

適切な対処ができていることが多いということを「解決志向アプローチ」は教えてくれています。

 

過去の振り返りが必要

「原因や背景の追求」はしませんが、

サバイバル・クエスチョンの場合は、過去の振り返りが必要になります。

 

実際に用いる場合には、できるだけ丁寧に振り返ったほうが「できている根拠」がたくさん見つかります

 

生育歴の振り返りに

この「サバイバル(生き延びたリソース)スキル」はカウンセリングの生育歴の振り返りの際に、私は基本的に常に意識しています。

それくらい、実際は時間をかけてやるだけの価値があるとても重要な視点だと思います。

ただ、生育歴の振り返りの場合は「嫌な出来事」も同時に扱うことになりますので、

ご自身で日常的に使用する場合は、「今、困っていること」に限定していいと思います。

 

ポイントは「できないこと」を考えるのではなく「それをこれまでどうサバイバルしてきていたか」ということです。

 

つまり「既にできている」を「発見」をします。

 

スケーリング・クエスチョン

「スケーリング・クエスチョン」は、

名称は言わなくても医療機関やディケアなどでよく使用されている「自分の状態を点数化する」ことをいいます。

 

一番良い状態を「10点」としたら今日は「何点」?

 

スケーリング・クエスチョンは、

「ずっと良くならないまま…」「何も変わっていない」という気持ちになってしまいがちなときに

「変化」に気づくことができ、希望やこれまでのがんばりを失ってしまうことを防ぎます。

 

ポイントは「昨日など過去と今の差異に気づく」ことです。

 

ポイント

例えば「今日は2点」と思ったとき、

「2点しかないのか…」「8点も足らない」という方向に考えるのではなく、

「2点はなんだろう?」と考えます。

0点ではなく2点プラスになっている要因はなんだろう?と考えることで、

自分のリソースに気づくことができます。

 

「治療開始時を5としたら今は何点?」「3ヶ月前と比べると今は?」等と聞き方を微妙に変え、

「今の状態の把握」と「進歩」を認識することができます。

 

客観的になれる

スケーリング・クエスチョンは、医療機関やディケアなどでよく使用されていると書きましたが、

「生活記録表」では毎日の生活リズムを書くのですが、

そのときに絵文字でスケーリングする項目が載っている事があります。

毎日記録することで、より適切に自分をモニタリングできることに繋がります。

 

私たちは「状態が悪いとき」しか気にしない傾向がありますよね。

具合が悪いときに「悪い状態」を考えると、

どうしても「ネガティブ」になって「視野が狭くなる」ことは無理もないです。

 

なので、日記感覚でその日の出来事や体調を記して、

「10点満点でいうと何点かな?」と日々自分を見てあげることは、

不必要に否定的になることを防ぎ自分に気付き

点数化することで状態を客観視できるようになります。

 

日記の意義

毎日「今日はどうだったかな?」と簡単に記すことはそれだけで「心のデトックス」になります。

そこにスケーリング・クエスチョンを加えて大雑把でも

数値化(「泣き顔」「笑い顔」などの絵文字や「◎○△×」などでも良い)することで、

「悪かったとき」だけでなく「良い日」「普通の日」を積み重ねることができます。

そのことで後に視覚的に振り返ることができるので、

「良い日も普通の日もこんなにあったんだ」と根拠となって「悪い日は永遠に続かない」という支えになり得ます。

 

「症状」にも有効

この技法は、応用として「フラッシュバック」や「悪夢」などの症状に対するショックに用いることもできます。

直接的な対処ではありませんが、フラッシュバックや悪夢というのは1回起きるだけで強いショックを与えます。

「良くなっている」と回復を実感していたところに、

強烈なフラッシュバックが起きてしまったり、酷い悪夢を見てしまったりすると、

ご本人にとっては「一気に引き戻されてしまった」ような感覚になり、

「良くなっていなかったんだ…」と無力感徒労感を連れてきてしまいます。

 

そんなときに、スケーリング・クエスチョンを応用して「1週間のうちで悪夢をみた回数は、3ヶ月前と今週と比べるとどうだろう?」と問うてみます。

 

そうしますと、「悪夢を見たけれど回数は以前よりぐっと減っている」と確認することができる場合があります。

注意ポイント

フラッシュバックなどの症状に対するショックの緩和に用いる場合は、

心理士など支援する側が頻度をきちんと把握した上で聞く必要があります。

むやみに聞くのはやめましょう

確実に「減っている」という場合で、ご本人を力づける必要があるときに用いるようにします。

なぜなら、回復の過程で「症状が頻発するようになる」という一見悪化したようにみえる過程を経ることがあるからです。

また、仮に頻度は減っていても「ポジティブ性」を見出すことが「今のつらさを分かってくれない」という気持ちを抱かせてしまうことがあります。

このような場合には気をつけましょう。

支援者や他者が用いる際には注意が必要です。

けれども、ご本人が「前向きになりたい」と思ったときに検討してみることはとても意義があると思います。

 

タイムマシン・クエスチョン

ご自身の過去を振り返り、リソースを発見し、日々をご自身なりに過ごせているということを大事にした上で、

「タイムマシン・クエスチョン」を考えてみましょう。

 

タイムマシン・クエスチョンは、「ミラクル・クエスチョン」の新バージョンです。

ミラクル・クエスチョンよりも短く簡単でイメージしやすくなっています。

 

一緒にタイムマシンに乗りましょう

では、今から「タイムマシン」に乗った気になって一緒に未来にいってみましょう。

 

タイムマシンに乗って、○年後の未来の自分を見に行ったとしたら、どこで誰と何をしている でしょうか

べき論や希望・願望ではなく、ありありと映像を見ているように話してください。

 

「○年後」は、ぜひご自身で自由に設定してみてください!

直感的でいいのです。

「3ヵ月後」でも「1年後」でも「5年後」でもなんでも構いません。

 

 

タイムマシンで行く未来の年月は設定できましたでしょうか?

 

 

それでは、浮かんだ年月に「タイムマシン」で行ってみましょう。

 

 

 

そこで見たご自身はどんな姿でしょう?

どこで誰とどんなことをしていますか?

 

 

 

ぜひ、生き生きと自由に好きなようにイメージしてみてください。

 

 

 

 

イメージできましたでしょうか?

 

 

 

それでは、タイムマシンに乗って今へ戻りましょう。

 

 

 

おかえりなさいませ。

 

 

心理療法では、「そのイメージに近づくために今何ができるでしょう?」と続き、

現在の対処へ繋げます。

 

ただ、「今できること」に繋げなくても「ポジティブな未来像」をイメージするだけで効果があります

「イメージ療法」という療法があるほど、

「ポジティブなイメージ」は潜在意識に働きかけるパワーがあります。

 

ミラクル・クエスチョンにも当てはまることなのですが、

「ありえないイメージ」でいいのです。

 

人は、どうしても自分で自分に制限を設けているものです。

苦しい経験が多かったら尚更です。

本当はできることでも望んでよいことでも

「自分には無理」と自分自身で可能性を制限してしまっていることがとても多いです。

 

そういった「縛り」を解いてくれる「クエスチョン」です。

 

「希望をもつ」というのは、ある程度のエネルギーが必要です。

なので、あまりにも疲弊していたり傷だらけであったりするときには希望を持てなくても無理もありません。

 

一方で、「希望」は、生きていく上でエネルギー原になりもします。

何より、自分を良い方向へ導いてくれるリソースです。

 

なので、「希望」や「前向きさ」が持てないほど疲れたときはちょっと脇に置いて、

また持てるようになったら持って歩いていけるといいなと思います。

 

 

解決志向アプローチは、「例外の発見」「サバイバル・クエスチョン」のような「過去の視点」を生かす技法と、

「ミラクル・クエスチョン」「タイムマシン・クエスチョン」のように「未来の視点」を生かす技法があります。

 

 

いずれにしても「ポジティブな視点」を最も大事にするところが「解決志向アプローチ」の最大の魅力だと感じています。

 

たまには既成概念を破ってくれるようなアプローチも素敵だと思います。

 

 

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「解決志向アプローチ①」の記事もご興味があればぜひ!

 

 

4連休の方も多いかと思います。

お休みもあとわずかですが、楽しみを持ちながら過ごして行きたいですね!!

 

今日も最後までお読みくださってありがとうございましたm(__)m

 

またのお越しをお待ちしております!

 

 

 

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