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心理豆知識

【セルフ・コンパッション】自分に優しく向き合う方法 ~自分への「理解と思いやり」~

2021年8月21日

 

セルフ・コンパッションとは、

「自分への思いやり」とも言われる「自分に優しくする方法」を意味します。

 

セルフ・コンパッションは、

「自分に優しくと言われてもどうやっていいかわからない」「自己否定が強く、直さなくてはいけないと思う」というような

「自分を肯定することがわからない」という場合にとても有効です。

日ごろから繰り返して行うことができる暖かく優しい対処法です。

 

「マインド・フルネス」「アクセプタンス」と関連が深く、

「今ここ」を体験し、受容するという一連の営みの中に「セルフ・コンパッション」も含まれます。

 

「マインド・フルネス」は瞑想を用いて「今ここ」の感覚に集中します。

「マインド・フルネス」は日々トレーニングすることでだんだんと自分の今の感覚を感知できるようになり、上手になっていけるものだと思います。

 

「セルフ・コンパッション」も「マインド・フルネス」と同じように、日々繰り返していくことが重要です。

 

ただ今回は、難しいことは一旦おいて、「セルフ・コンパッション」の概要をご紹介することで、

「自分への思いやり」とはどういうものかイメージできるところまで理解できればと思います。

 

「セルフ・コンパッション」とは

「セルフ・コンパッション」とは、「自分への思いやり」と先に述べたように、

「良いときも苦しいときも、自分を上手に気遣える」というセルフ・ケアです。

 

セルフ・ケアの中では対処療法ではなく根本的なアプローチになり、

非常に魅力的な療法であると感じています。

 

「マインド・フルネス」や「アクセプタンス」を下地として、

「今ここ」を体験し、受容した上で、

「自分への慈しみ」「思いやり」を増強させていくアプローチが「セルフ・コンパッション」になります。

 

感じたことや考えたことを否定するのではなく、

ネガティブな感情を減らそうとするのではなく、

「嬉しいときも悲しいときも自分を暖かく包み込む」というものになります。

 

楽しいときや嬉しいときには、罪悪感を持たずに楽しむことができるよう支えます。

苦しいとき怒りでいっぱいなときは、「そうなることも自然なことだ」と理解と優しさをもって支えます。

 

「セルフ・コンパッション」によって、自分が自分の最大の理解者で味方となります。

 

ストレングス

近年、「エンパワーメント」という支援者側の対応が注目されています。

「エンパワーメント」とは

「クライエントを無力で弱い者とみなすのではなく、本来の力強さが発揮できない状態と捉え、本人の強みを増強できるよう支援する」ことを意味します。

 

この「強み」のことを「ストレングス」といいます。

 

「ストレングス」

「ストレングス」とは、クライエントが本来持っている問題解決能力や強み、可能性のこと

問題を否定的に捉えたり、クライエントを「病者」として接したりするのではなく、

クライエントの主体性の重視、支援者と支援対象者との関係の対等性を強調する用語です。

 

「セルフ・コンパッション」は、「ストレングス」を自然に強化し、自分を励まし応援し続けるものです。

 

「自己肯定」する方法

ここまでの説明で、「セルフ・コンパッション」は、

端的にいえば「自分を肯定する」という「自己肯定感」を連想された方も少なくないかと思います。

 

その通りです。

 

「セルフ・コンパッション」は、「自己肯定の上手なやり方」を示してくれていると感じています。

 

ここで、「セルフ・コンパッション」で行うことと「自己愛」の違いに触れておきたいと思います。

 

まず、「自己肯定」と「自己愛」に厳密に線引きすることは難しい概念です。

 

しかし、「自己肯定感」は「良いときも悪いときも、まぁいいか、と自分を受容する」という感覚が強い概念です。

一方、「自己愛」は、「自分を好きになる」という意味合いが強いワードです。

 

気を付けたいところは、「自己愛」は程度が過ぎると「他者を見下して」などの

誰かと比べて自分の優位性を誇示する」という状態になることがあるということです。

 

「自己肯定感」というのは、あくまでも自分の中で自分を肯定するということで、他者と比べることではありません。

 

「セルフ・コンパッション」は、「自分への思いやり」です。

自分を思いやり、罪悪感を持たずに楽しみ、抱える苦しみを理解する営みは、「他者との比較」は必要ありません。

他者を批判することではなく、他者と比べて自分を批判することでもありません。

 

この点が、「過度な自己愛」と区別されます。

 

受容と理解

「セルフ・コンパッション」の重要なポイントは「自分で自分の人格否定をしない」ということです。

 

会社の上司に対するパワハラ講座などで

「間違いを注意はしても、人格否定する言葉は言わない」などが教育されることがありますが、

この人格否定は実は「自分が自分に行っている」ことが非常に多いです。

 

ご本人の責任だということではありません。

背景には、家庭環境やトラウマティックな体験など、外的な要因が必ず存在しています。

 

そういったバックグラウンドによって慢性的に「自分はダメな人間だ」「がんばっていないと価値がない」等と、

自分に対して人格否定をし続けてしまっています

 

そうなりますと、「自分を大切に」と言われても、

そうしたくても「どうやっていいかわからない」と思うのは自然なことですよね。

 

「セルフ・コンパッション」は、人格否定を止め、

のびのびとしたエネルギーを強化してくれる言葉がけを教えてくれるものです。

 

「セルフ・コンパッション」が目指すこと

「セルフ・コンパッション」は、どんなときも自分の気持ちや感覚を認めて、思いやりで包みます

これは、「自分を甘やかす」ことでも「無力で苦しみに飲み込まれてしまう」ことでもありません。

 

「理解と思いやり」を増強させることで、安定することができ、のびのびと生きていけるようになることを目指します。

 

「変化しない」ことではない

「セルフ・コンパッション」は、「自分を変えようとしない」ということでもありません。

「すぐイライラしてしまうのを止めたい」と試みることと、

「イライラする自分は嫌い」ということは違うという視点を大事にします。

 

「直したい」「変わりたい」ということがあったとき、その部分を持っている自分を嫌いに思ってしまうと、

苦しくなって、変わるためのエネルギーが削がれてしまうことが多いのです。

 

「そういうところもあるよね。イライラしたり不安になるのもわかるよ」という優しい目を向けながらいると

変わりたい方向に進んでいけるエネルギーになります

 

「喜び」を貯え、「苦しみ」を包み込む

「セルフ・コンパッション」は、良いときも悪いときも行うことが大切です。

ただ、負の感情に圧倒されてしまいそうな場合は、

比較的「具合が良い」ときに行うことから始めてみると取り組みやすいと思います。

 

「嬉しい」「調子が良い」ときに自分の感覚を改めて感じ、「良かったね」と喜びを支持してあげる。

「悲しい」「不安」なときもそういった自分を包み、認めてあげ、「大丈夫」と支えてあげる。

 

またあるときは「よくわからない」という感覚になることもあると思います。

そういうときも「麻痺してる?」「負の感情に圧倒されそう?」と問いかけてみて、

ピンときたことがあったらそれが「今」の感覚なのだと思います。

 

やり方

具体的な実践方法について整理し、どのようなものかイメージを持っていきたいと思います。

 

冒頭に触れたように、「セルフ・コンパッション」は、

ご自身の「今」の気持ちや身体感覚を感じそれを受け止めて思いやりで包み励ますというものです。

 

そのため、「マインド・フルネス」と「アクセプタンス」が実践する際には必要になります。

 

マインド・フルネス

「マインド・フルネス」は、聞いたことがある方が多いかもしれません。

瞑想を用いて「今ここ」に感覚を向けることです。

ブッタの瞑想法に由来し、仏教や禅といった東洋医学との関連が深く、

3回以上うつ病を再発する場合の有効な治療法としてエビデンスがあります。

 

アクセプタンス

「アクセプタンス」とは「受け入れる」の意味で、

マインド・フルネスとセットで用いられることが多い状態です。

「今ここ」の感覚を受け取ったら、それを受け入れて味わう、という状態です。

 

本格的に取り組むのであれば、ワークブックを使用したりカウンセラーと共に行ったりが必要ですが、

あまり難しく捉えなくとも、簡易な形でも有効であると思います。

 

「マインド・フルネス」も含めた「セルフ・コンパッション」の一連の営みは、

 

今どんな気持ちだろう?」「身体の状態はどうだろう?」と今のご自身に関心をしっかり向ける時間を作り

その中でなんとなく拾った感覚を大事にし

可能であればその感覚を言葉にし(「疲れた」「お腹がすいた」など)、

追い払おうとせずに味わって、それに対して思いやりをもって言葉をかけてみる

 

とイメージしてもらえれば良いと思います。

 

では、「セルフ・コンパッション」のやり方を、架空事例を挙げながら理解していきます。

 

2つの事例を挙げて、「自分に厳しい声かけ」「自分を哀れむ声かけ」「セルフ・コンパッション」を比較します。

 

事例の状況に置かれたら、ご自分はどんな気持ちになり、自分にどう言葉をかけるか、

ぜひ想像して試してみてください

 

「セルフ・コンパッション」になっていなかったとしても、

日ごろ、ご自分がご自身にどう対応しているかが分かるので、それだけでも意味があります

 

新たな環境下で(事例)

以下の事例を、自分に起きたと想像してみましょう。

人間関係や過重労働が原因で退職し、別の会社に転職した。

30歳過ぎてやっと採用になった会社。来週には大事なプレゼンがある。

入社してまだ間もなく、不慣れなところもある。

プレゼンを控えてとても緊張し、「失敗したらどうしよう…」と不安が強くなっている。

 

上記のような状況に置かれたとしたらご自分になんと言葉かけするでしょうか?

 

「セルフ・コンパッション」すると、どうなるのでしょうか?

 

「厳しい言葉かけ」と対比しながら、「思いやり」という「セルフ・コンパッション」の姿勢を持って、実際にやってみたいと思います。

 

以下は私の一例にすぎませんので、ぜひ皆さまで「自分だったら」と想像して試してみてください。

 

「厳しい言葉かけ」(例)

今度こそ辞めないで続けないといけない。この会社でやっていかなければもう他に雇ってくれるところはない。

「不慣れ」だとか「入社して間もない」とか言い訳していてはダメだ。不安になっていても意味がない。

しっかりしなきゃ。失敗してはいけない。ちゃんとしたプレゼンをするんだ。

 

 

「セルフ・コンパッション」(例)

緊張しているし、不安が強い…。失敗が怖い…。

緊張したり不安になったりしているのが嫌だと思っているようだ…。

緊張や不安を抱えながら「緊張や不安を感じる自分は嫌」と思ってる。。そりゃ嫌だよね。緊張もしたくないと思うよね。

とにかく不安が強いな…。なんだろうね。。

…不安になっているのは、「失敗したらどうしよう」という気持ちばかりではないみたいだ…。

プレゼンの箇所でよく知らないところがあるからだな。「何を求められているかわからない」ことも不安の一因になっているようだ。

明日分からないところを聞いてみよう。自分が考えていることとニーズがあっているかも確認してみよう。

「成功させたい」と思っているだけで充分にやる気がある。でも入ってすぐに劇的な成功をおさめようとまで思わなくていいかもしれない。

仮に失敗してもまた次のチャンスがある。今できることを精一杯やればいい。

 

 

この例のように「セルフ・コンパッション」は、決して「怠ければいい」「がんばらなくていい」という姿勢ではありません。

むしろ、暖かいエールを自分に送ることでエネルギーになり、モチベーションを高めてくれます

 

皆さまはどのような言葉かけをご自身になされたでしょうか?

 

改めてご自分の言葉かけを眺めてみると、それだけでも自己理解が深まるのではないかと思います。

 

苦しみの最中で(事例)

「セルフ・コンパッション」は、自分を哀れむこととも違います。

2つ目の架空事例を題材に、

「自分に厳しい声かけ」「自己憐憫」と、「セルフ・コンパッション」の違いを理解していきたいと思います。

 

ブラック企業に勤め、上司から酷いパワハラに遭った。

「3年は勤めなければ」と思って頑張ったけど、心身を壊して退職した。

うつ病になり、退職して半年経ったけれど、なかなか回復できない。

 

こちらも、以下は私の一例にすぎませんので、ぜひ皆さまで「自分だったら」と想像して試してみてください。

 

自分に厳しい声かけ

3年も無理して勤めなければよかった。どうして気づかなかったんだ…。もっと早く辞めていればよかったのに。

それにしてももう半年経ったのだから早く働かないといけないのに、未だにうつ病だなんて、自分はどうしてこんなにダメなのか。

もっとがんばらなくては。

 

自己憐憫の状態

「3年は辞めるな」と教えられたのに、間違っていたじゃないか。

それにパワハラなんて仕打ちを受けるなんて、なんで自分だけがこんな目に遭わなくてはいけないのだろう。

おかげでうつ病になってしまった。一度うつ病になってしまったらそう簡単には回復できない。

どうしてくれるんだ。人生が狂ってしまった。

 

セルフ・コンパッション

悔しい気持ちがある…。パワハラをしてきた上司に怒りを感じる…。

悔しさや怒りを感じるのは当然。そうすぐに解消できるほど軽い傷ではなかった。思っていたよりも深く傷ついている…。

その中でも3年もがんばったのだから、傷だらけで疲労困憊している…。

悔しかったね。怒りだって強い。

当時、感じられなかった怒りや悔しさを今感じているんだな…。

自分のために怒りや悔しさを感じることは必要だ。

パワハラ上司にされたことは嫌なことだ。でも、自分のこの怒りや悔しさは悪くない。

つらいけれど、今もがんばっているんだな…。

今うつ状態で苦しくて、思うように回復しないことに焦りや不安がある。

焦りや不安があるのは、元気になりたいと思う気持ちをちゃんと持っているからだな。

そう、元気になりたい。

そう思う気持ちがちゃんとある。だから、きっと大丈夫。

見通しがはっきりついているわけではないけれど、時間をかけてまた元気になれる。

 

みなさまはどのような言葉かけができたでしょうか?

 

「セルフ・コンパッション」に関しても、私の一例が正解というわけではありませんので、

ぜひのびのびと自由に声かけを考えてみてほしいと思います。

 

それぞれの違い

それぞれの「言葉かけ」を振り返ります。

 

「自分に厳しい」と、傷ついている状態をさらに痛めつけるようになってしまい、

元気を出そうにも出せない状態に追い詰めてしまっていることが分かるかと思います。

 

また、「自己憐憫」になりますと、「自分は無力で全ては運」という「振り回されるだけの存在」になってしまいます。

 

「セルフ・コンパッション」では、「悔しい」「怒っている」「不安」などと感情を明白にしています

できるだけはっきりとさせ、かつそれは肯定しながらも、負の感情に巻き込まれすぎないように思いやりで「大丈夫」と支えています

 

実践のポイント

「セルフ・コンパッション」は義務的に取り組むことではありません。

「自分へのご褒美のように」という視点を大事にしています。

感情や体感を受容しながら、自分を見失わないようにします。

 

今回は大まかなイメージが掴めればという内容なので、詳しいやり方はワークブックなどをご覧いただけるとより身につくかなと思います。

 

重要なポイントだけまとめます。

 

ポイント

実践のポイント

楽な姿勢になり、自分の感覚がどうか感じる時間を取る

・「嬉しい」「疲れた」「休みたい」「安定しない」「苦痛がある」などの何かを少しの時間体験する

・その感じを追い払おうとしない

・自分に対して、思いやりのある言葉をかけ、力づけてあげる。

 

「アクセプタンス(受容)」ができると、程度の差はありますが身体感覚としてわっと感覚が広がる感じがすることが多いです。

 

完璧にやろうとしなくていい

「マインド・フルネス」は、人によって好むか好まないかに大きな差が出ると日々の臨床では感じています。

また、「瞑想といっても具体的にどうなったら成功なの?」とピンとこないことも少なくないと思います。

 

「セルフ・コンパッション」も「マインド・フルネス」の延長にありますので、

馴染まない場合はもちろん無理なさらなくていいと思います。

 

ただ「やってみようかな」と思ったら、完璧を目指さなくて大丈夫です。

「1日1回、自分の身体に調子を聞いてみる」だけでも充分に適切な対処になります。

 

また、「マインド・フルネス」「アクセプタンス」まででも充分に癒しの効果がありますし、

逆に、「思いやりのある言葉を自分にかける」という「セルフ・コンパッション」だけでも良いと思います。

 

一連の営みをちゃんとできればベストかもしれませんが、ハードルが上がってしまうのであれば、

それぞれが馴染みやすい取り組める箇所を利用するだけで充分だと思います。

 

 

「自分の感覚を理解し受容し、思いやりをもって接する」という対応は、カウンセリングで通常に行われている営みです。

なので「コンパッション」は非常に有効であることは間違いないと感じています。

それをセルフで可能にするために、いろいろなワークブックなどが出ていますので、ご興味があればもっと深めていただけたらなと思います。

 

 

『認知療法』や『行動療法』、『精神分析』など、さまざまなアプローチ法がありますが、

何を用いるとしてもまず必要な段階が「自分への気づき」だと思います。

 

これまでご紹介している心理学的知識や「マインド・フルネス」や「セルフ・コンパッション」など、

ご自身を理解し、腑に落ちて気づくことができるための方法をできるだけ提供できたらと思っています。

 

 

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今回は、「セルフ・コンパッション」の大まかなイメージを掴めればと、概略をご紹介しました。

 

次の記事で、「寝子がセルフ・コンパッションやってみた」という体験談をつづっています。

失敗体験です。

「マインド・フルネスなどが合わない…」という方のご参考になれれば♪

 

 

8月も気づいたら下旬ですね。

夏の終わりは、一番疲れが出る時期ですので、くれぐれもお身体大事になさってください。

 

今日も最後までお読みくださってありがとうございましたm(__)m

 

またのお越しを心待ちにしております♪

 

 

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