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心理豆知識

【防衛機制②】「怒り」に対する無意識の防衛とは?!

 

以前の「防衛機制①」の記事では、

頻繁に行われる「投影」「反動形成」について取り上げました。

 

今回の記事では、抱えにくく認めがたい感情の代表である「怒り」に対する「防衛機制」に注目したいと思います。

 

「怒り」の記事で説明していますが、「怒り」というのはとても大切な感情です。

一方で、その強烈さゆえに抱えにくく、世間一般的にも「怒るのはよくない」という思い込みも働きやすいため、

「無意識の防衛」が働きやすい感情といえると思います。

 

そこで、怒りを無意識で操作したらどのような形で現れるのか、整理したいと思います。

 

防衛機制とは

「防衛機制」とは、自分の感情や欲求が認めがたいときに、

不安や自責感といった辛い感情を感じないで済むように自分を守るために働く様々な無意識の方略をいいます。

 

「防衛機制①」と重なりますが、「防衛機制」はほとんどが適応的に作用しているとされています。

しかし、場合によっては知らず知らずのうちに自分を苦しめてしまうこともあり、

適応的であっても不適応的であっても、「無意識の意識化」がとても大事になります。

 

「怒り」に対する無意識の作用

繰り返しになりますが、「怒り」はとても大切な感情です。

特に、いじめやパワハラなどの被害に遭った場合は尊厳を取り戻すために「怒り」を感じることは必要です。

 

しかし、「怒り」は、感じる本人も苦しいですし、「怒ることは好ましくない」という価値観を持っていることが多く、誰にも好まれない感情でもあります。

そして、「怒り」の持つ破壊性も伴って、ストレートに感じにくい感情です。

 

そのため、「防衛機制①」で説明した「抑圧」が起きたり、

「反動形成」として「本来は怒りを抱いている相手に優しく接する」など、表面的な姿を変えやすいです。

 

そうしますと、「無意識」ですので、本人も「怒り」の意識化ができず、

長期に渡ってしまいますと、尊厳を取り戻すことができないままになってしまうこともあります。

 

そこで、どのような防衛の仕方があるのか見ていきたいと思います。

 

注意ポイント

「怒り」の防衛になりやすい「防衛機制」を取り上げますが、

これらは「怒り」だけにおきるわけではありません

また、「防衛機制①」でご紹介した防衛機制が、

先ほど説明した「抑圧」や「反動形成」などのように「怒り」の防衛として作用することもあります。

 

置き換え

「置き換え」とは、ある人に対して持つ感情や考えを、別の人へ移し変えることをいいます。

例えば、両親に対して強い怒りをもっている場合、それを権力者などに向け、権力者に敵対的な態度をとるケースが代表例です。

 

親に怒りをもっている子どもが、親には出せないため「置き換え」を無意識にし、

家庭外で教師などの目上の人間に反抗する場合などが具体例になります。

 

攻撃者との同一化

「攻撃者との同一化」とは、誰かに攻撃された後で、自分よりも弱い相手を見つけ、

自分を攻撃した人間のようにその弱い相手に対して攻撃的に振舞うことを指します。

これは「置き換え」の過程にも含まれます。

 

「攻撃者との同一化」は、「加害の再演」と同じことを意味します。

自分よりも強い相手から攻撃され無力でいるしかなかったとき、

自分よりも弱いものに同じ攻撃をすることで、恐怖や無力感を克服しようとする無意識の作用です。

 

同一化

「同一化」とは、自分が好きな人や憧れとする人の振舞いや特徴を真似することで気持ちを満たそうとする防衛機制です。

そのことで、自分のコンプレックスや劣等感を緩和したりします。

「同一化」の多くは、成長に適応的に働きます。子どもが親やスポーツ選手を真似ることはモデリングともなります。

ただ、「攻撃者との同一化」は、全てではないけれど場合によっては、

自分の傷つきを癒すことができないまま、誰かを傷つけてしまうことになってしまうことがあります。

一方で、例えば、「いじめを受けた子どもが大人になってプロボクサーとして大成した」というようなケースであれば、

「同一化」と「昇華」の防衛機制が極めて適応的に働いたと解釈することが可能なのかもしれません。

 

自己攻撃

自分が実際に抱えている怒りや攻撃性を、

本来の対象に向けないで自分自身に向ける防衛機制「自己攻撃」といいます。

これは、「置き換え」の1種でもあります。

「他人に怒ってはならない」という強い道徳心や、

自分の抱える攻撃性の強さに無意識的に気付き、「他者に向けては危ない」と判断した結果に起きるとされています。

 

理不尽な被害に遭い、その後、自分を痛めつけるような行動をしてしまうことがありますが、その理由の1つがこの防衛機制なのかもしれません。

場合によっては、「再演」の「大したことではないはずという確認」や「慣れよう」という無意識、

ひどく傷つけられた自尊心と協和しようとする「認知的不協和の作用」などと複雑に絡み合っていることが「自己攻撃」は多いと感じます。

 

反動形成

「防衛機制①」でも、この記事の冒頭でも「反動形成」は触れましたが、ここでも取り上げたいと思います。

 

「防衛機制①」で説明した通り、「反動形成」は、「本心とは真逆の行動をする」ために、

「防衛機制のほとんどが適応的に作用している」といっても、

反動形成は「適応的」にはならない可能性が高い、注意したい無意識であると私は気にしています。

 

反動形成的な行動をとることは、場合によっては必要でしょう。

しかし、「意識化」はしていたいと思います。

気付いていると、その場はストレスを感じますが、それゆえ、エスカレートしないで済みます。

 

「怒り」に関わる「反動形成」を取り上げます。

 

理想化 

「防衛機制」の種類はたくさんあります。

ここまで取り上げていないものに「理想化」という作用があります。

「理想化」は、「反動形成」に分類されます。

 

「理想化」とは、例えば、ある人に対する敵意や恐怖を抑圧するために、その人を理想的な人間とみなす作用です。

これは「ストックホルム症候群」であることもあるでしょう。

 

敵意や恐怖を抱いている「ある人」が、加害者という関係性でなかったら、ストックホルム症候群ではなく、

「人を嫌ってはいけない」等と強く思っているがゆえの防衛(「理想化」)と捉えられるかもしれません。

あるいは、両方が同時に作用していることもあるでしょう。

 

再演

「再演」とは、「トラウマとなるような出来事を自ら繰り返すこと」です。

詳しくは「再演」の記事をぜひお読みいただきたいと思います。

 

「再演」の記事で詳述しているように、その原因はさまざまです。

しかし、無意識の作用が働いています。先ほどの「攻撃者との同一化」も再演であると書きました。

 

「再演」に繋がるもので、他にも「反動形成」が作用していることがあります。

 

「本当は嫌なのに」「強い怒りを感じているのに」「断りたいのに」etc。。

 

「嫌だと思うのはおかしい」「怒りを感じてはいけない」「人を傷つけてはいけない」「怒りを意識化したら抱えきれないほど爆発しそうだ」などの理由で、

それらを抑圧し、「反動形成」となり正反対の気持ちと行動になります

「まるで好きかのように」「怒るどころか喜んで」トラウマとなるような出来事を繰り返してしまうことがあります。

 

この場合、小さい頃から「怒ることが許されなかった」など、怒りに慣れていないケースや、

「人を疑ってはいけない」といったような模範意識の強さ

「自分が嫌だと思うのがおかしいのでは?」等の「自分の感覚への疑い」などが根底にあることが多いです。

 

トラウマを繰り返すなどの自分を深く傷つける行為が無意識で行われていたとしたら、

それは意識化できないほどに傷つき混乱し、それでも1人でなんとか対処しようとしたということです。

「自分は間違ったことをした」と責めることなく、そのとき生きる術が傷を増やすことでしかなかったほどに

大変な気持ちを抱えていたということなのだと思います。

 

同じメカニズム

「再演」や「ストックホルム症候群」「防衛機制」には無意識の作用が述べられています。

大事なことは、「どの理論に当てはめるか」というとではなく、

異なる視点から似たような「無意識」が取り上げられているということが大事なのだと思います。

それらを手がかりに、自分の本心への気づきに繋げられればと思います。

 

負の感情は苦しいだけではない

「怒り」や「誰かに対する不快感」を抱くことは決して心地よいものではありません。

でも、自分を守るためにとても大切な気持ちだと本当に思います。

長い間、怒りなどの負の感情を無意識で抑圧していたら、

怒りを感じられるようになってすぐは、激しくて強過ぎて苦しいかもしれません。

 

でも、それをずっと我慢してきたということです。

そんなご自身を労って、時間をかけているとだんだん消化されていきます。

同時に、その場その場で「怒り」や「不快感」を感じられるようになっていけるかと思います。

そうすると、溜めていたものよりも、消化もスムーズにできるようになり、

「自分にとって何が許せないことなのか」「どんな環境なら合っているのか」などが分かるようになれるかと思います。

 

「怒り」や「不快感」などの負の感情を抑圧せずに感じられるようになると、

「嬉しい」「楽しい」などのポジティブな感情も以前よりはっきりとたくさん感じられるようになります。

なので、ネガティブな感情を感じることは自尊心を取り戻し、自分を癒すことになる上に、

決して苦しいだけで終わるわけではなく、ポジティブな感情も取り戻してくれると信じて、進んでいきたいと思っています。

 

 

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「防衛機制①」の記事もご興味があればぜひ。

 

「再演」の記事「ストックホルム症候群」の記事もありますので、

ご興味があれば、併せてぜひお読みいただければと思います。

 

「怒り」の記事もぜひ。

 

 

最後までお読みくださってありがとうございましたm(__)m

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