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トラウマ 心理豆知識

【ストックホルム症候群】加害者に好意を抱く心理とは?

2021年5月14日

 

先日記事にした「再演」にも繋がる「ストックホルム症候群」について今回は理解したいと思います。

「再演」の記事はこちら

 

ストックホルム症候群とは

まず「ストックホルム症候群」は病名ではありません。

命の危機に瀕したときの人間の生存本能として生じる心理状態を説明する概念です。

ストックホルム症候群の名前の由来とその心理状態を整理していきたいと思います。

 

名称の由来は銀行強盗人質事件

「ストックホルム症候群」という名称の由来は、

スウェーデンのストックホルムで起きた銀行強盗人質事件から名付けられました。

 

事件の概要は、銀行強盗が人質をとって銀行に立てこもりました。

立てこもりは長時間に渡り、警察が踏み込んで人質を助けようとすると、

人質たちは警察に反抗する行動をとり、犯人をかばったのです。

 

そのときの人質の人たちの心理を分析したものが「ストックホルム症候群」と名づけられ、広がりました。

 

人質の人たちの心理とは

ストックホルム症候群は、

「相手に嫌われると命の危険がある場合に、

相手に好かれようと本心から好意を抱いたり加害者と心的絆を持つことで危機を回避しようとする

という心理現象です。

 

ストックホルム症候群であると「心から」好意を抱いたり絆を感じたりする心境になります。

それは、好意を抱いた「フリ」では、ばれてしまう危険性があるからでしょう。

ばれてしまったらどんな報復があるか恐ろしいですよね。

本当だったらばれようがないですので、

本能的に無意識で「本気で」好意を抱いたり、

被害者と加害者だけの特殊な絆をもったりします。

 

特殊な絆とは

ストックホルムでの人質立てこもり事件は、

「警察」が犯人と人質の人たちにとっての「共通の敵」になったと考えられます。

通常時であればおかしいことですが、犯人と人質の人たちは、

極めて特殊な緊張状態を共有したと捉えることができます。

 

また、被害者にとって、

「被害の傷を一番知っているのは他の誰でもなく加害者」

という心理になる場合があると指摘されています。

そのため、「加害者ではあるけれど、他の誰よりも自分の一番の苦しみを知っている」という気持ちが加害者との特殊な絆になり、

関係を続けてしまう要因の1つとも言われています。

 

どのような状況でなるのか

由来が「銀行強盗人質事件」と聞くと、「まさに命の危機がある状況下で」と思いますが、

実際はそこまでではないけれど、「ストックホルム症候群」になっていることは多々見受けられます。

そして、本人も「命の危険がある」とまでは認識していないことが多いです。

 

虐待や機能不全の親

虐待を受けていると、まさに親は子どもの命を握っています。

ですから、子どもは意識的にも無意識的にも親に好かれようとがんばります。

 

カウンセリングをしていると、

「親が大好きだった」「自分から機嫌を取りにいっていた」「親は素晴らしい人だと思っていた」「親は“私が助けないと”と思っていた」

等と話される方が少なくありません。

それら全てが「ストックホルム症候群」だというわけではありません。

ただ、そうであることもありますので、どなたかの自己理解の助けになればと思います。

 

学校や会社での上下関係

パワハラセクハラが、学校や会社で繰り返されることが珍しくありません。

その際、被害者の人が「被害を受けた」と認識するまでに時間がかかることがあります。

そしてその間、継続的に被害に遭ってしまう…。

その理由の1つに、ストックホルム症候群があげられます。

 

学校や会社でのパワハラセクハラは、

上の立場の人間が下の立場の人間に行う犯罪です。

そのため、被害者の人にしてみれば

「加害者にはむかったら、今居る学校や会社に居られなくなる」という恐怖に縛られたとしてもなんの不思議もありません。

その結果として、ストックホルム症候群という心理状態になり

なんとか被害を大きくしないように努力した結果が、

「反抗せずに被害を受けること」ということがあります。

あるいは、「加害者の反社会的行為に協力すること」である場合もあります。

 

自ら関わってしまうケース

スタートが「加害者からの加害行為」ではなく、

「加害的な男性に魅力を感じて寄っていってしまう」ということがあります。

もちろん、当初は相手を「モラハラなどをする人」とはわかっていません。

付き合い始めると正体が現れるという場合。

 

こういった場合は、

「過去のトラウマ体験により、ストックホルム症候群という心理状態になり、再演を引き起こしている」と解釈することができます。

もちろん、全てのケースでそういえるわけではありませんが、可能性としては充分にあり得ます。

 

過去に、ストックホルム症候群にならざるを得ない絶対的な上下関係のもとで被害にあった場合、

それはその人にとって、ストックホルム症候群という心理状態になった結果、生き延びられたという学習になり得ます

感情や思考の意に反していたとしても、

そのときの生命維持としては正しい対処であったと脳に刻まれたとします。

そうすると、同じような危険を起こしそうな相手に出会ったとき、

その攻撃性を無意識的に見抜き

本能的な防御反応によって「逃げることよりも、心から好きになって嫌われないことが生命維持に必要だ」と無意識が働き、

暴力的な側面を持った相手に自ら近づいて機嫌をとってしまう。

 

そしてそういった一連の行動は、

『再演』や『ストックホルム症候群』の記事で述べてきたように、

ほとんど全てが「意識に上らない無意識によって」起きている。

 

なので、自分でもわからないうちに、被害的な状況に陥ってしまうことがあると解釈できることがあります。

 

周囲の不理解が二次被害に

ストックホルム症候群という心理状態になると、

同一人物から複数回の被害に遭ったり、本人に強い拒否の表れがなかったりすることから、

周囲から誤解されてしまうことが多いです。

ご本人も自分を責め、周囲からも理解されず、

二次被害にあってしまいます。

    

そのため、一般の人にも知って欲しい心理状態です。

 

ストックホルム症候群に共通するのは、

「加害者側が被害者よりも絶対的に上の立場」であるということです。

これは、社会的立場はもちろん、腕力などの単純なパワーも含まれます。

それを飛ばして、

「何度も被害に遭うのはおかしい」「嫌なら嫌だと言えたはずなのに言わなかった被害者に落ち度が」というのは、

全くの間違いで、典型的な二次加害です。

 

「嫌なら嫌だと言えばいい」などということで犯罪を防げるなら、とっくにこの世から犯罪はなくなっています。

 

強さを持っている人間が、弱い人にどれほどの恐怖を与えているか、鈍感すぎる「強者」は多いです。

 

ご本人がご自分を責めませんように

先ほどの周囲からの二次加害もあり、

ご本人も「自分が断ればよかった」「最初に言えばよかった」等と自分を責めてしまいます。

場合によっては、そう思ったまま、被害の傷を癒すことができなくなっているケースもあると思います。

 

だから、正しく理解したいです。自分は身を守るために最善を尽くしていたのだと。

 

立場や力が弱い者が、強い者に狙われたとき、

ものすごく酷い目に遭わないために、その場を穏便に済まそうとがんばった結果が、犯罪の被害であったということはたくさんあります。

自分で自分の身を守るために必死だっただけだと捉えることが適切であるケースは多いです。

そしてそのように対応したことはその場でできる精一杯の対処だったのだと思います。

 

 

ストックホルム症候群での自分の行動は、

「再演」に絡んでいたり、自責感や自己嫌悪感を引き起こします。

そして、心に深い傷ができると、これまで「再演」の記事や今回の記事で繰り返しているように、

その後にもあらゆる形で影響を及ぼしてしまいます。

 

「再演」や「ストックホルム症候群」は周囲の人たちに特に理解されにくいです。

なので二次被害にあってしまいます。

それを防ぐためにも、一般の人たちにこういった知識を広めていかなくてはと思っています。

 

ただ、誰よりも被害者の方ご自身が、ご自分を責め続けてしまっていることが何よりも苦しいことです…。

だから、おこがましいですが、心理学の知識が自己理解の助けになったら幸いです。

 

そして、「再演」でも書きましたが、後から振り返ると、たとえ自分の気持ちや意志に反していたとしても、

無意識は無意識なりの理由があったのだと自分に寄り添えたらいいなと思います。

 

 

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今回の『ストックホルム症候群』と関連が深い『再演』の記事はこちらです。

 

今後も、心の理解に繋がる記事を書いていきたいと思っています。

「子どもの頃の記憶がない」といった「解離性健忘」についても記事にしています。

ご興味があればぜひ♪

 

 

最後までお読みくださってありがとうございましたm(__)m

 

 

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