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心理士の裏話 心理雑談

過去感情か今か ~「トラウマ」を再定義する~

2022年10月6日

 

今日も心理雑談でございます。

 

今日のテーマは

「今の状態って、“今”の感情じゃなくてトラウマ反応かも」というお話しです。

 

「トラウマティックな出来事」「トラウマ反応」は、その定義や内容が近年大きく変わってきています。

 

精神科の医療機関に勤めていると、「診断基準」は重要ですし、病名の特定は医師の職務でありますが、心理士もアセスメントしています。

 

けれど、本当はDSMやICDには書かれていなかったり、矛盾する特徴があるのが実際のケースです。

 

こういった診断基準と臨床上の隔たりについて、

神経生物学的パーツアプローチやポリヴェーガル理論は

「DSMなどの診断基準は意味が無いどころか、有害ですらある」と言ってのけています。

 

(天才の先生方ってさすがですよね。DSMっていう世界的権威にケンカ売れるんだもん。。

あ、でも「ケンカうってすげ~」とか思ってる私のレベルが低すぎるのか)

 

そうはいっても、患者さんにとって診断が下りるというのはとても大切なことであり、

一概に否定することはできないと思っています。

 

でも、ものすごく共鳴するものがあり、

雑談的に「一般にイメージされている状態と実際とのギャップ」について綴ってみたいと思います。

 

根付いている症状のイメージ

「トラウマ」「PTSD」というと、「フラッシュバック」はよく知られていますね。

 

「突然、トラウマティックな過去の状況が蘇る」とされています。

 

診断基準ともなっている「フラッシュバック」のイメージによって、

そこまでの強烈性のないものや、トラウマを映像として想起させてはいない状態は、

フラッシュバックではなく、トラウマ反応でもないと見落とされてしまっていると、

ここ最近感じるようになっています。

 

近年、「映像」としてのフラッシュバックだけではなく、「感情のフラッシュバック」が少し認知されてきています。

 

けれど、こうした明確に「トラウマ反応だ」と判別できる症状よりも、

さも当たり前の反応であるかのように振舞う「トラウマ反応」が実はたくさん存在していて、

それを理解することが癒しになると思うようになっています。

 

トラウマ的な出来事とは

先ほどの「フラッシュバックのような明白で強烈なもの」が「トラウマ症状」という思い込みと同じ問題として

 

「トラウマティックな出来事とは、犯罪の被害や虐待などの暴力的な大きな出来事」という誤解がまだまだあると感じています。

 

先日記事にした「ポリヴェーガル理論」が「画期的!」「精神医学の常識を覆す!!」と大々的に注目されているのは、

「副交感神経系の迷走神経は2つあり、シャットダウン機能を見つけた」ということだけではなく、

ポリヴェーガル理論の中には非常に多くの新規な発見があるからなのだと思います。

 

その1つが

 

「孤立はトラウマ的な出来事」

 

と明言しているところだと私は思っています。

 

この「孤立」は、もちろん物理的に「誰も居なかった」という意味ではなく、

「心の交流が他者とできなかった」という主旨です。

 

トラウマとは何か

そこで、そもそも「トラウマとはなんだろうか?」と考えてみました。

 

「トラウマ」とは、ポリヴェーガル理論に立って考えると

「その人が安全ではないと反射的に感じる状況に置かれたときの適応反応」

と定義されるのではないかと思います。

 

そう考えると、日ごろの対人関係も思考の傾向も、もしかしたら過去のトラウマ的状況を過ごしきったという体験が、今も繰り返されている場合が実は少なくないと思います。

 

適応的行動

「戦うことも逃げることもできないと不動状態になる」とポリヴェーガル理論では述べています。

パーツアプローチでは「解離」としています。

 

ただ、「不動」「解離」といっても、「固まってしまって動けなかった」「記憶がない」等という典型的な状態だけが人間の適応策ではないですよね。

 

「戦うことも逃げることもできない危険な状況」において、人は、「攻撃者の機嫌を取る」「気付かないフリをする」「勉強や仕事などに熱中する」など、行動していることが多いです。

 

一見は「今を生きている」ように見えるので、分かりにくく、

過度な疲労や躁的な状態が「トラウマ反応かも」と気づきにくく、癒されにくいところがあると感じています。

 

他の記事でも何度も繰り返していますが、

「トラウマ的な状況下では適応的であった。それが危機的な環境でなくなった今はむしろ不調を引き起こす適応策である」ということです。

 

今か過去か

「今の日常生活の些細とも思えるストレスや感情の反応が過去のものかもしれない」として、

これは非常に判別が難しいものです。

 

一般に「フラッシュバック」とされる現象のように明白ではありません。

 

本当にまさに「今起きているかのように」感じさせています。

 

「トラウマ反応かも」という視点

何が言いたいかというと、

今感じている苦しい感情や行動のほとんどは、過去のものであり、

「トラウマ反応」かもしれないという可能性です。

 

なぜこんなことを言っているかというと、

「トラウマ反応の過去感情であれば、それに気付ければ癒される」からです。

 

逆に、「今の反応だ」と思っていると、その苦しい感情に占められたままで癒すことが難しくなるのですよね…。

 

手がかりは

日々の感情の動きや思考について、

それが「今」なのか「トラウマ反応」なのか、

手がかりの1つは、トラウマが引き起こしていると、その感情や思考、行動の後に

 

恥の気持ちや後味の悪さ、自己嫌悪感など

 

を生じさせていることが多いといわれています。

 

癒すには

「自分の気持ちを理解して共感する」ということをイメージしやすくするために

日常の場面で「人と共感的に会話する」を想定してみます。

 

その相手とピッタリ密着していたら話せませんし、相手の表情や動作を観察することもできないですよね。

 

同じように、自分を理解するときも、どれか一部分の感情や思考に占められていると、自分に対する思いやりが向けられず、自己理解も進みにくいのです。

 

自分の内面と少し距離を取って、でもしっかりと見つめられる近さを保つイメージで観察できると、癒しに繋がるかもしれません。

 

私の話

よく分からない内容だったかもしれませんが汗

 

私自身の話しになりますが、「ある性被害サバイバーの話55」

「ある性被害サバイバーの話57」で書いているように、

 

パーツアプローチに出会うまで、私は今の原家族への反応がトラウマ反応であったとは、考えたこともなかったのです。

 

また、記事にしていませんが、「飲み会が苦手」であることも、パーツアプローチで理由が分かりました。

 

私は一応は心理の専門家で知識はあったのに、正確にいえば、その知識が自己理解を邪魔していたのです。

 

「トラウマ反応は、DSMで規定されているもの」という思い込みがあったのでしょう。

 

自分では、診断基準はある一線を示しただけのものであり、それが状態の多くを示しているわけではないとわかっていたつもりでも、

柔軟性に欠いてたのだと思います。

 

 

「何か違和感を抱く反応があるなら、それは過去のものかもしれない」という視点を持てたことは、すごく助けになっています。

 

ただ、マインドフルネス的な観点は、「感覚」に頼っている部分が多いため、うまく言葉として説明するのが難しいという課題はあります(苦笑)

 

 

もっと説明がうまくなりたい…

 

 

情報更新はいつか

ものすごく余談ですが、

「ポリヴェーガル理論」で従来の「ストレス反応」「自律神経の働き」は変わったわけなので、

それが心理などの教科書的な本の内容が変わるのはいつだろう?と、ちょっと思っています。

 

「ポリヴェーガル理論」が発表されたのは1994年。そこから28年間も裏づけをされた結果の今なわけで、

従来の教科書の内容を削除まではしなくても、付け加えるべきではなかろうか、とどうでもいいことを心配しています(笑)

 

だって、未だに「ストレス反応」についても「認知的評価→ストレス反応」って基礎心理学のテキストだとなっているし、

 

 

アップデートしようようぅぅうぅうう

 

 

変わっていこう????

 

 

 

 

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↑寒暖差が激しくなりましたが、みなさま体調くずされていませんでしょうか?

 

 

 

最近、「雑談」が続いているのは、ちゃんとした記事を書くパワーがないからです(涙)

 

でも「何か書きたい!」という弱めながらも意欲はあるので、

「中途半端で分かりにくいな…」と思いつつも、アップさせてもらっています。

 

8月はジエノゲストで体調不良、

9月から今までは、どうも9月始めにジエノゲストの代わりに処方された漢方薬が合わなかったことが原因の体調不良っぽいです…。

 

でも、まだわからない…。

 

寝子の体調は良くなるのか、乞うご期待(どうでもいいw

 

 

 

では、みなさまもくれぐれもお身体お大事に、またブログやツイッターでお会いしましょう♪

 

 

 

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