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トラウマ 性被害サバイバーの1事例

ある性被害サバイバーの話55 ~パーツアプローチ①~

 

こんにちは~。

 

今回は、「パーツアプローチを自分にやってみた」という事例紹介です。

 

臨床でやっていることは守秘義務のため書けないので、

この先も事例は「寝子オンリー」というしょぼさになることをお許しください笑

 

「今」困っていること

パーツアプローチのポイントの1つは、「今」の状態からパーツを見つける点です。

過去を思い出すのではなく、「今、困っていること」からアプローチします。

 

そこでまず、今表れている「パーツ」を見つけます。

 

パーツの発見

今の私の中にいるパーツ達をざっとあげます。

 

「警戒する(眠れない)パーツ」

「眠れないことを恐れるパーツ」

 

「隠れるパーツ」(注目が怖い)

「無視されることを怯えるパーツ」

 

「戦うパーツ」(原家族との関わりを避けようとするパーツ)

「役割パーツ」(生活の確保のために原家族のために役に立たなくてはと動くパーツ)

 

 

「今の苦しみ」に関わっていて、かつ対立してしまうパーツを3セットあげました。

これは必ずしもセットにすることはありません。

 

ただ、「人と仲良くなりたい(愛着パーツ)」と「人を信用してはいけない(警戒パーツ)」に代表されるような

「正反対の対処が対立して独立して出る」という状態は、

「今」の生きづらさを生じさせている可能性が高いので、このように例示してみました。

 

では、「今の私の苦しみ」から具体的にやっていきます。

 

「父に会いたくない」

私は9月に入って

「そろそろ父に会わないといけない」

「向こうはじっと待っているだろう…」という思考でグルグルし、

その不快感は日増しに強くなっていきました。

 

「来週にしようか」「いや再来週…」と考えるたびに、強烈な抵抗を感じ、

かといって「会わない」ともできず、

この不快感を軽減するために結論を出したいと思うものの、どの答えに対しても気が進まず、

どうしていいかわからない日々が続いていました。

 

「どうして?」に増す不快感

「なんでこんなに嫌なんだろう?」「別にそこまで大したことではないのに」と

「なんで?」と理解しようとするほどどんどん不快感は強烈になっていきました。

 

「受容」で動いた身体感覚

どんどん不快になる状態の中、パーツアプローチの視点の中で「共感」がよぎり、

「それは嫌だよねぇ」と目をつぶりしっかりと「嫌だね。会いたくないよね」と共感しました。

 

そうしたら、グワっと身体の中のモヤモヤが動きました

その後すぐに「このパーツはなんだろう?」と考えたら、

「傷つくのを恐れている」「傷つかないように父に会わせないようにしている」とわかりました。

 

別の「パーツ」の発見

「父に会うと傷つくから傷つかないように止めるパーツ」を

私はすぐに「戦うパーツだ」と認識しました。

 

同時に「役割を果たすパーツ」が認識され、

そのパーツが「父に会って家族としての役割を果たさないといけない」と主張していることが分かりました。

 

「関わらないようにするパーツ」は「逃げるパーツ」とも考えましたが、

私にとっては直感で「戦うパーツ」と思ったことが正しいのだと思いました。

彼らに対して当時の私ができた攻撃は「関わらない」だけだった。。

私にはこれは「逃げる」のではなく精一杯の「攻撃」なのだと理解しました。

 

過去へ

すると次にはっきりと

「ああ、原家族と過ごしていたとき、そういえば私は傷つかないように関わらないようにしながらも

家にいさせてもらえるように原家族と関わって役割を果たそうとしていたな」と思い出しました。

 

先ほどまで感じていた焦らせるような不快感はじっとりとした不快感に変わり

涙が出てきました。

 

その後、不快感は治まりました。

 

私はこの記憶がなかったわけではありません。

でも、「原家族と関わると傷つくからできるかぎり関わらないようにする」という対処と、

 

「求められる役割を果たさなければ居させてもらえない」ために「役割を果たすために原家族に関わる」という対処が同時進行であったことを、

当時は意識しないようにしていた。。

 

すなわち軽く解離することで直面することを避け、適応していたことを初めてしっかりと認識することができました。

 

身体の痛み

その後、首と肩が筋肉痛のように痛み出しました

その痛みは不快なものではなく、力が抜けたことで痛んでいるのだと感じられ、翌朝にはなくなっていました。

 

人それぞれの得手不得手

私は職業柄もあり、心情の理解や分析は得意だと思います。

一方で、自分の気持ちの受容や共感はできていなかったのだと気付かされました。

 

人それぞれ、得意な過程と苦手な過程があるかもしれません。

 

「パーツを発見する」「理解する」「受容する」「信頼する」といったパーツアプローチの過程の中で、

得意な作業や足りてないかもしれない部分は何かあるかなどといった視点で見てみることも助けになるかもしれません。

 

映画『ジョーカー』に対する共鳴

上記の変化が起きた次の日、

本当にふと「ああ、『ジョーカー』への感動は身体感覚だったのだ」とわかりました。

 

私はジョーカーを観て、私の中にある「悲しむパーツ」が反応していたのだとわかりました。

 

以前にブログで「映画『ジョーカー』」という記事で書いているのを改めて読むと、

「なにに感動したかわからない。でも私の一部共感してくれた」と書いてあります。

さらに「見ている間、ぐっと悲しい気持ちになるので」とも記しています。

 

それなのに、当時はなぜか「私が感じていた悲しみをわかってくれた」とは認識できていないのです。

 

 

これぞ神経生物学的パーツアプローチのいうところの

 

 

 

解離!!!!

 

 

 

『ジョーカー』は、断片化されていた「悲しむパーツ」を発見してくれていたのだとわかりました。

 

 

「悲しむパーツ」

「トラウマによる解離」の記事で触れていますが、

「悲しみ」という感情は、人を自分の殻に引きこもらせ、人と距離を置く性質を持っています。

 

私は当時、引きこもるわけにはいかなかったし、

「悲しみ」を与えている張本人である原家族と離れることもできない状況でした。

 

だからこの歳になってもかつての「悲しんでいる自分」を認識できないほど、断片化していたのだと思いました。

 

「悲しむパーツ」を発見できて、

「原家族に理解されなくて悲しかった」

「苦しみながらも何とか生きようとがんばっているのに、見下され、役に立たない自分勝手な子と見られ、悲しかった」

 

そう癒すことができました。

 

潜在的な「恐怖」

パーツアプローチは、「今の状態」から入ります。

 

ただ、過去に触れないというわけではなく、実際に私の場合も自然に過去に着いています。

 

深層部を癒すとき、その由来を辿る必要がでてきます。

 

そのとき、どのようなパーツでも「潜在的には恐怖がある」といいます。

 

確かに、私の場合も「傷つくことに対する恐怖」「役割を果たさないと居場所がなくなる恐怖」「理解してもらえないことに対する恐怖」が根底にあったと感じます。

 

自分のパーツの理解と受容を進めるときに「どうしたら怖くなくなりますか?」等の「恐怖がある」ことをベースに探っていくと、

埋もれてしまったパーツを発見しやすくなるかもしれません。

 

事態は変わっていない

当初の私の悩みである「父親に会うべきか会わざるべきか」の回答は未だに出ていません。

つまり、客観的な事態は何も変わっていません。

 

けれど、私の中の強烈な不快感はその後は訪れなくなりました。

父と会うかどうかの結論は出せないまま、

「まぁそのうちまた考えよう」と保留にしたまま思い出してもそれほど不快にならなくなっています。

 

次の課題は、実際に父に会うときでしょうか。

経過を見て行きたいと思っています。

 

うまくいかない部分も

今日取り上げた課題以外に、私のトラウマ由来の現在の悩みとして「不眠」があります。

かなり改善しましたが、それでもなくなってはいません。

 

このことに対するパーツアプローチもそのうちご紹介できたらな、と思っています。

 

今書かないのは、今回書いた「父に会いたくない」という部分よりも強固で、いまひとつうまくいかないからです。

 

ただ、「眠らない警戒パーツ」との対話で思ったのは、

「説得しようとするとダメなんだな」ということでした笑

 

「今は大丈夫だよ」とどんなに伝えても身体感覚はビクともせず、なんにも伝わってないことが分かりました。

 

そういうときは、まず当時の自分が好きだったスポーツ選手の話しでもすることから信頼関係を築かないとダメなのかもなと、

いろいろ工夫を試みているところです。

 

 

『トラウマによる解離からの回復』の著書、ジェニーナ・フィッシャーは、

催眠療法のエッセンスも入っている」とパーツアプローチについて話していますが、本当にそうだなと思います。

 

私は催眠療法のトレーニングを受けたことがあり、催眠療法がどういうものか体験をしているのですが、

他の心理療法の比じゃないくらい、カウンセラー側の要因が催眠作用に強く影響するんですね。

 

神経生物学的アプローチを含めた内的家族システム療法をベースとしたものは、ある意味で催眠療法のように、

そのクライアントさんに応じた言葉をいかにカウンセラーがつむぎだせるか

どのくらい上手に質問できるかが非常に重要なのだと感じています。

 

 

もっと上手に質問できるようになりたい…。

 

 

 

そして何よりも、カウンセラーに対する信頼の程度が催眠状態になれるかどうかに関わる催眠療法と同じ印象を「パーツに話しかける」過程では感じるので、

クライエントさんとの「信頼関係」という基本は決して忘れないように肝に銘じていきたいと思います。

 

 

 

 

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関東は梅雨のような天気です。

台風も来月始めまではくると思うので、気圧と季節の変化で不調が起きやすいかと思います。

 

どうか心身大事にされてください。。

 

 

またのお越しをお待ちしております♪

 

 

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