今回は、ストレスと関連して起こる身体疾患である「心身症」として代表的な病気である
「過敏性腸症候群(IBS)」を取り上げたいと思います。
「脳と腸は繋がっている」と言われる通り、「ストレスと胃腸の具合」というのは密接に関係しています。
うつ病の初期に認められたり、不安障害と併発することなども多く、
「お腹の調子」は心の調子の1つのバロメーターになっていることがあります。
目次
過敏性腸症候群(IBS)とは?
過敏性腸症候群とは、「器質的な異常は認められないけれど、下痢や便秘などの排便の機能的な異常が認められる状態」をいいます。
「器質的な異常はない」というのは、
「腸の検査をしても腫瘍や炎症はない」という意味になります。
「機能的な異常」とは、器質的には異常はないけれど、
「痛みは本当にあり、下痢や便秘という排便機能の低下が認められる」という意味になります。
過敏性腸症候群の種類
過敏性腸症候群は、大きく分けると「下痢・便秘・混合」の3種があります。
そして、その種類によってお腹の痛みやトイレの回数が変わり、トイレに行くと痛みが緩和されることが特徴です。
過敏性腸症候群の3種
・「下痢型」:外出前や電車内、映画館内など、トイレに行きづらい状況で腹痛や便意をもよおす。
それがたびたび起きることで「またお腹が痛くなったらどうしよう」と不安が強くなっていき、
電車に乗るのが怖くなり乗れなくなるなど、日常生活に支障をきたすこともあります。
・「便秘型」:慢性的に便が出づらい状態。出ても「コロコロとしたウサギのうんち」で、
スッキリしない状態が続く。ストレスにより悪化する。
・「混合型」:「下痢型」と「便秘型」を繰り返すケース。一般的に最も多いといわれています。
過敏性腸症候群の原因
過敏性腸症候群の原因ははっきりとは解明されていませんが、1つはストレスとの関連です。
過敏性腸症候群であると、「脳から腸への信号と、腸から脳への信号が過敏に相互に送られる」といわれています。
「腸の知覚過敏状態」と表現されたりもします。
何か食べたり飲んだりすると、それが通常以上に敏感に腸から脳へ伝達されます。
一方、ストレスを感じると脳が感知して腸へ伝達し、消化器系が活発になります。
そのために、腸の働きが過敏になると考えられます。
なりやすい性格傾向
過敏性腸症候群は、暴飲暴食などの生活習慣も関連が指摘されていますが、
ここでは「ストレス」に注目したいと思います。
アレシキサイミア
過敏性腸症候群は、「心身症」の1つです。心身症とは、ストレスによって身体症状がでる状態像を指します。
心身症になりやすい性格傾向の1つとして
「アレキシサイミア(失感情言語傾向)」があげられます。
アレキシサイミアとは、自分の内面に気付きにくい、また、気持ちを言語化することが苦手という特性です。
そのため、実際はストレスがかかっていても、本人はそのつらさを自覚しにくかったり、
なんとなく感じていても、それを言葉で表すことが不得意であるために、
ストレスの発見および対処ができずに、体に不調が現れることが多いと指摘されています。
不安や緊張が強い場合
「緊張したらトイレに行きたくなった」という経験がある方は少なくないと思います。
同じように、一時ではなく、日々、緊張し不安が強いとそれが心身症として出ることがあります。
また、過敏性腸症候群で、個人的に多いなと思うケースは、
「今、所属している何かに強いストレスを感じている」という環境が原因となっている場合です。
職場でも習い事でも、「そこに行こうとするとお腹が痛くなる」ということは決して少なくないように思います。
子どものストレス
また、「ストレスによる身体症状」は大人よりも子どもに出やすいといわれています。
アレキシサイミアが心身症を起こしやすいメカニズムと同じで、
子どもは大人よりも自分のストレスに気付きにくいですし、言語化もできないことが多いです。
さらに、自分で自分の環境を選ぶことができません。ストレスの逃げ道が大人より圧倒的に少ないです。
そのため、「学校に行きたくない」「塾に行くのが嫌だ」というようなストレスがあるときに、
過敏性腸症候群のように頻繁にお腹が痛くなったり、頭が痛くなったりといった身体症状で出ることが多いです。
注意ポイント
子どもの場合は、「うつ状態」も「身体症状で出る」とされています。
そのため、特に中学生以下のお子さん場合、「お腹が痛い」「頭が痛い」「手足がたまにしびれる」などの症状が続き、
かつ、検査をしても異常がない場合には、何か大きなストレスがないか、軽んじずに様子を見てあげる必要があります。
対処法は心身両面からのアプローチ
過敏性腸症候群に限らず、「心身症」は、日ごろの食生活や生活リズムなどの生活習慣とストレス対処の
心身両面からのアプローチが必要です。
生活習慣の見直し
よく言われていることではありますが、
頻繁に暴飲暴食をしていたり、冷たい飲み物ばかり飲んでいたりしますと、
腸にダイレクトにダメージがいきます。
また、心身相関ですので、体の負担が増えれば、それは精神的ストレスにもなります。
そのため、食べ過ぎには特に注意したいところです。
飲み物は、冷たい物やアルコールをたくさん摂取するのは体に負担がかかります。
ただ、水やお茶などのノンカロリーの水分はこまめにとりましょう。
過敏性腸症候群の「便秘型」に認められることが多いのは「水分摂取の不足」です。
特に「仕事中にほとんど水分を摂っていない」ことがあります。
職場環境にもよりますが、お通じに水分は必須ですので、
常温や温かい飲み物を意識的に摂取できるといいなと思います。
また、「仕事中に水分補給し忘れるほど、集中あるいは緊張して仕事をしている」というストレスの表れであるとも捉えることができます。
「ちょっと何か飲もう」という動作は、単なる体への水分補給という意味だけではなく
「気分転換」にもなりますので、精神的にも効果があります。
もう一つ、重要な生活習慣は「睡眠」です。
睡眠は、心の状態のバロメーターにもなりますし、睡眠が足りないと腸だけでなく体にいろいろな影響がでます。
そのため、睡眠時間をしっかり確保するようにし、
それでも「眠れない」「寝ても疲れがとれない」といったことがあれば、
病院を受診するなど、早めに手当てできるといいなと思います。
ストレスの対処方法
「アレキシサイミア」の項目でも触れましたが、アレキシサイミアでなかったとしても、
過敏性腸症候群をはじめとする心身症になりやすい方は、ストレスへの対処方法が少ない傾向にあると思います。
基本的に我慢しがちで、けっこうしんどくならないと対処しないという感じがあるように思います。
なので、「ストレス対処法をいくつか増やす」ことが良いといわれています。
これは心理学で「コーピング」といわれます。
「コーピング」とは、心理学で、「ストレス対処スキル」のことです。
ストレスに対し、対処法をいくつも備えること、それらを適切に用いていくことなどを意味します。
コーピングは、「気晴らしの方法をリストアップしておく」「自分の気持ちや考えを振り返る」「問題を直接解決する」などのストレス対処法であり、ストレスマネジメントの一環です。
(「コーピング」の記事はこちら)
その中でも、簡単にすぐできて有効な対処として個人的にお勧めなのは、
「お金を多少遣って、気晴らしをする」ことです。
状態が重いと楽しめなくなってしまいますが、そうでなければ、
「Amazonプライムで有料の映画を観る」とか「マッサージを2時間コースで受ける」とか「前から欲しかったグッズを買う」など、
思い切っていつもと違う贅沢なリフレッシュができるといいかなと思います。
コロナが長引いて、普段できていたストレス対処ができなくなってしまった人も多いですよね。。
なんとかできるささやかな贅沢を見つけて自分のケアをしたいなと思います。
人と話そう
コロナになり、今まで自然にできていた外食や旅行などが制限されてしまっています。
そんな中、最も減ってしまったと感じるのは
「人と話すこと」だと思います。
仕事に関しても、在宅ワークは在宅ワークのよさがありますが、
社内の人と何気なく話す機会を減らしたと思います。
また、同居家族以外の家族や友人と会えなくなってしまいましたよね。
そのため、「とりとめのない話をしてストレス解消する」という
「話すことでのストレス対処」が圧倒的に足らない状態であると思います。
何か大きなストレスがなくても、みなさまストレスが溜まっていると思います。
なので、用事がなくても、同居家族以外の人に声をかけて話してみるのは、
とっても有効なストレス対処だと思います。
Zoomでも電話でも、ちょっと会ってもいいと思います。
そういえば、Twitterでもスペース?か何か、話せる機能ができたようですね。
方法はなんであれ、話したい人と久しぶりに話せる機会を持てるといいなと思います。
今のご自身をふりかえり、できそうなことからストレス対処の方法を実践していけたらいいと思います。
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いつも手間をかけて申し訳ないですm(__)m
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押さなくてもお読みくださった方、本当にありがとうございます!!
今書いていて、また別の記事で「コーピング」について整理するのもいいかなと思ったので、
「コーピング」の記事をアップしました!
梅雨の時期はこちらの記事で書いたように、自律神経が乱れてしまいます。
胃腸などの消化器官は自律神経の影響を特に受けやすいので、いつも以上にお腹を大事にしたいですね。
次回は、「うつ病」について、症状や実際の状態をできるだけわかりやすく説明しています。
ご興味があればぜひ!
最後までお読みくださって本当にありがとうございました!
またいらっしゃっていただけることを心待ちにしています。