今回は、私たちはどのような流れでストレスを感知し、対処しているのかを整理しながら、
ストレスへの対処策を増やせるヒントを得ていきたいと思います。
ストレスの認知
ストレスを受けた際に、そのストレスを認知し、
どのような対処法が可能か判断して実行する一連の動きを「ストレスマネジメント」といいます。
ストレスマネジメントの中で、ストレスへの具体的な対処を「コーピング」といいます。
ラザルスのストレスコーピング理論では、
ストレス反応は「認知的評価と対処(コーピング)」よって決定するとされています。
①ストレッサーによる刺激→
②認知的評価
[そのストレスに対処が必要かどうか(一次評価)→対処が可能かどうか(二次評価)]→
③ストレス対処
[問題焦点型or情動焦点型]
ストレッサー
ストレッサーの種類はさまざまです。
「暑い寒い」等の温度などの気候から、上司からのパワハラまで、ありとあらゆる「刺激」を私たちは受けています。
それらの「刺激」を「ストレッサー」と言います。
ストレッサーの全てが私たちにとって「ストレス」になるわけではなく、
「有害な刺激」として「ストレス」になるには、一次評価と二次評価という段階を経ます。
一次評価
一次評価は、「ストレッサーが有害かどうか」という判断です。
一次評価にてストレッサーが「無害である」と判断された場合、
ストレスを感じることはなく、それで終わります。
しかしストレッサーが自分にとって「有害である」と判断された場合、「ストレス」と認知され、二次評価へと進みます。
二次評価
二次的認知評価では「ストレス」である物事に対して以下の2つの判断を行います。
ポイント
1、結果期待:「こう対処したら結果はこうなる」という見通し
2、効力期待:「うまく対処できる」という自己効力感
「結果期待」は「対処法を知っている」ことが必要です。
また、「効力期待」では「対処法を知っていて、さらに自分はうまくできると信じられる」ことが必要になります。
ここで、上記2つとも対処可能と判断されると、ストレスは和らぎます。
しかし、どちらかで対処が不可能と判断された場合、ストレスがさらに高まってしまうのです。
自己効力感
「効力期待」は「自己効力感」となります。
「自分は課題を解決できる」という感覚を「自己効力感」といいます。
「自己効力感」が低いと劣等感につながりやすく、
「自己効力感」が高いと優越感を持ちやすいといわれています。
ストレス対処(コーピング)
ストレス対処は、無意識で行っていることもたくさんあります。
無意識の対処として有名なものにフロイトの「防衛機制」があります。
一方、「コーピング」は、意識的に行う対処で、
一般に「ストレス解消」という言葉からイメージできる行為です。
無意識の対処も多くは「適切な対処」と言われています。
ただ、「再演」の記事や「ストックホルム症候群」の記事で述べたように、
できるなら、ストレスは意識化できたほうがより適切な対処がとれると考えています。
また、日ごろから自然に行っているストレス対処について「コーピングできている」と改めて意識してみると、
先ほど説明した「自己効力感」を高めることができるかもしれません。
コーピングの種類には、大きく分けて2種類あります。
ポイント
- 問題焦点型:ストレスになっている問題を解決する
- 情動焦点型:感情の消化や整理に重点を置く
問題焦点型
問題焦点型は、ストレスと考えられる原因に直接アプローチする対処法です。
例えば、新しい部署の上司と合わないとしたら部署異動の希望を出す、会社を辞めるなどが該当します。
また、「認知療法」のような「自分の物事の捉え方を変えるよう取り組む」ことも、問題焦点型に入ります。
(『認知の歪み』の記事はこちら)
問題焦点型のメリットは、何よりも「ストレス因の除去」になり「自分で解決できた」という自己効力感にも繋がることです。
一方でデメリットは、「対処法が分かっていてもできないことが多い」という点があります。
悩みのほとんどは「解決策がない」あるいは「解決策は分かっているけど、それを実行できない」ということであると思います。
なので、問題焦点型しかコーピングがないと、できない自分を責めてしまったり、
あるいは動きすぎて疲れてしまったり、
知らず知らず周囲の人を巻き込んで人間関係に新たな悩みを抱えてしまったりということが起きます。
情動焦点型
情動焦点型は、ストレスを感じている「気持ち」を軽減したり変えようとしたりすることに焦点づける対処法です。
問題焦点型が、ストレッサーに直接対処することに比べ、
情動焦点型は、原因となるストレッサーはそのままで、自分の気持ちをなんとかしようとします。
「気分転換にドライブに出かけよう」「友人に話を聞いてもらう」「あまり考えないようにする」などが体表例です。
情動焦点型の対処は、「日々の苛立ちごと」や「解決できない問題」には有効です。
しかし、「ストレッサーは変わらない」ので、「環境が原因で病気になった」というようなケースでは、
「情動焦点型」だけではどうにもならなくなってしまうことがデメリットです。
自分の抱えているストレスが、「気晴らし」の連続で解消していけることなのか、そうでないのか見極める必要がある場合があります。
コーピングを増やそう
『過敏性腸症候群』の記事でも触れましたが、
コーピングはたくさんもっていたほうがストレスに強くなれます。
個人的には、情動焦点型の対処法は必ず持ちたいです。
それは、「情動焦点型」とカテゴライズしてしまうとそこまでですが、
実は、「情動焦点型は問題焦点型に通じるスキル」になり得るからです。
「友達に話を聞いてもらう」などは「状況を変えるために人に相談する」という「問題焦点型」の入り口の対処になり得ます。
また、誰かに話しているうちに『認知の歪み』に気付いて修正できたり、
知らなかった対処法を教えてもらえる、
「好きなカフェでまったりしていたら、ちょっと元気になって対処するパワーが戻ってきた」など、
情動焦点型をいくつか行ううちに、そこから進んでいけることが意外と多いのではないかと思います。
なので、いくつか好きな事柄や安心できる人や場所を確保しておくことは一番大事なのではないかと思っています。
その上で、「情動焦点型」のデメリットでも触れたように、
例えば、健康を害するほど環境が合わなかったら「問題焦点型」のコーピングで「環境を変える」という動きが必要になります。
「問題焦点型」には、「ストレッサーに向かっていく」というエネルギーが必要になるので、
日ごろからいろいろなコーピングでストレスを減らして、いざというときに発動できるようにしてたいですね。
↓押してくださると寝子の「情動焦点型」コーピングになります!!
いつも手間を惜しまず押してくださってありがとうございます!!
今回ご紹介した「コーピング」について提唱したラザラスという心理学者は、
「人は、大きな出来事が1度起きるストレスよりも、『日常の苛立ち事』の方がストレスになる」と指摘しています。
なので、トラウマティックな何かが一度あるよりも、
「日々の些細なストレス」の方がストレスになると、
偉大な心理学者が言っていますので、みなさまも「こんなことでイライラしてはダメだ」と思わずに、
ぜひストレス解消をしてほしいと思います。
最後までお読みくださってありがとうございました!
また覗きにきてくださいね♪