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病気のお話

【うつ病】「うつ」って実際にはどんな状態!?

2021年5月24日

 

「うつ病」という病気は、かなり認知されたように思います。

それでもまだまだ誤解があります。

また、精神疾患の中でも「うつ病」は、

他の精神疾患と併発することが多く、

特に知っておいてほしい病です。

 

ここで改めて、「うつ病」とはどういう病気なのか、

実際の診断基準の紹介と、具体的な状態の説明をしたいと思います。

そうすることで、少しでも早期発見に繋がればいいなと思っています。

 

うつ病とは?

うつ病とは、DSM5という診断基準マニュアルで「気分障害」に分類される精神疾患の1つです。

「抑うつ」「うつ状態」など、いくつか似た言葉がありますが、

一般的には「うつ病」が診断名であり、重い状態を指します。

 

「抑うつ」は「ゆううつ」「気持ちが落ち込んでいる」という心理状態を意味することが多いです。

また、「うつ状態」は、「うつ病」にはまだ至っていないけれど自覚症状がある

あるいは、「うつ病」という診断名を表現として避けるときに「うつ状態」と使用されることが多いです。

 

DSM5の基準

以下は、診断基準マニュアル「DSM-5」の「うつ病」の診断基準です。

 

「小難しい書き方は苦手」という人はこの項目は飛ばして次の項目からで充分理解できます。

 

以下のA~Cをすべて満たす必要がある。

A: 以下の症状のうち5つ (またはそれ以上) が同一の2週間に存在し、病前の機能からの変化を起している;

これらの症状のうち少なくとも1つは、1 抑うつ気分または 2 興味または喜びの喪失である。 注: 明らかに身体疾患による症状は含まない。

1. その人自身の明言 (例えば、悲しみまたは、空虚感を感じる) か、

他者の観察 (例えば、涙を流しているように見える) によって示される、ほとんど1日中、ほとんど毎日の抑うつ気分。注: 小児や青年ではいらいらした気分もありうる。

2. ほとんど1日中、ほとんど毎日の、すべて、またはほとんどすべての活動における興味、喜びの著しい減退 (その人の言明、または観察によって示される)。

3. 食事療法中ではない著しい体重減少、あるいは体重増加 (例えば、1ヶ月に5%以上の体重変化)、またはほとんど毎日の、食欲の減退または増加。 (注: 小児の場合、期待される体重増加が見られないことも考慮せよ)

4. ほとんど毎日の不眠または睡眠過多。

5. ほとんど毎日の精神運動性の焦燥または制止 (ただ単に落ち着きがないとか、のろくなったという主観的感覚ではなく、他者によって観察可能なもの)。

6. ほとんど毎日の易疲労性、または気力の減退。

7. 無価値観、または過剰あるいは不適切な罪責感 (妄想的であることもある) がほとんど毎日存在(単に自分をとがめる気持ちや、病気になったことに対する罪の意識ではない)。

8. 思考力や集中力の減退、または決断困難がほとんど毎日存在 (その人自身の言明、あるいは他者による観察による)。

9. 死についての反復思考 (死の恐怖だけではない)、特別な計画はない反復的な自殺念慮、自殺企図、または自殺するためのはっきりとした計画。

B: 症状は臨床的に著しい苦痛または社会的・職業的・他の重要な領域における機能の障害を引き起こしている。

C: エピソードが物質や他の医学的状態による精神的な影響が原因とされない。

(出典「DSM-5」)

 

分かりやすい言葉に置き換えると

わかりやすい言葉に置き換えます。

以下の症状の5つ以上が2週間以上続いていること

・ゆううつな気分

・興味や喜びが少なくなる

・食欲の変化あるいは食事の量の変化

・睡眠障害

・気持ちの焦りor気持ちが動かない

・疲れやすさと無気力

・自己否定感、自責感

・思考力の低下、集中困難

・希死念慮、企図

 

この中のうつ病の症状のうち、早期発見のために必ず理解しておきたいのは、

「気持ちの落ち込み」「楽しいと感じなくなる」「思考力の低下」「睡眠障害」かなと思います。

 

うつ病は、ある日いきなり「ゆううつ感が尋常ではない。急に頭が働かなくなった。」という風に発症するのではありません。

ジワジワと進行していくため、早期発見が大事とはいえ、なかなか気付きにくいので、気付くためには知識があると助けになるかと思います。

 

実際の臨床像

「うつ病」の正式な診断基準を把握した上で、臨床上認められる傾向を整理していきたいと思います。

例えば、うつ病の診断基準には、「身体症状」は含まれていません。

ただ、実際には頭痛や腹痛、微熱などといった身体症状が現れていることがあります。

そこで、ここではそういった臨床像も含めて、特に初期に認められることが多い症状について整理します。

 

「なにが初期症状でどこからが中等度以上か」という厳密な区分けはありません。

初期症状が中等度でも持続することもあります。

ただ、いずれにしても「SOSのサイン」だとわかることが大切です。

 

身体症状

まず、微熱や頭痛や腹痛などの身体症状が続くケースが多いです。

ただし、身体症状がほとんどない場合もあります。

けれども、注意したいのは「うつ病は心の病気」だと思っていると、

「身体症状がうつ病の兆候」であると認識せずに放置しがちなので、

「我慢しようと思えばできそうだけど地味につらい身体症状」が断続的に続いているようなら、

SOSのサインと受け止めたいと思います。

 

睡眠障害

睡眠障害は、「入眠困難」「中途覚醒」「早朝覚醒」「熟眠困難」の4種に大別されます。

これらが複数認められる睡眠障害は多いです。

うつ状態に限らず、ストレスがかかっているサインは「睡眠」に現れることがとても多いです。

そのため「良く眠れているか」は心の健康のバロメーターでもあります。

 

「仕事をしなければいけない昼間に頭が働かず、寝なくてはいけない夜中に目が冴えてしまう」という状態もよく見受けられます。

 

ポイント

◆睡眠障害の種類◆

入眠困難:ベッドに入ってから寝付くまでに時間がかかる状態

中途覚醒:夜中に何度も目が覚めてしまう状態

早朝覚醒:実際に起きる時間よりも早く目が覚めてしまう状態

熟眠困難:寝ても熟睡した感じがしない状態

 

「なんだか早く目が覚めてしまってその後眠れない」「寝ても何度も目が覚めてしまって寝た気がしない」という状態が2週間以上続いているようであれば、

連休を作るなど、休む時間を増やせるように意識したいと思います。

 

思考と感情の変化

次に、診断基準でも明記されている、うつ病の中核的症状である「気持ちの落ち込み」「思考力の低下」について、

日常場面をイメージしながら整理したいと思います。

 

「気持ちの落ち込み」と「喜びや興味の減退」

うつ病の主症状ともいえる「憂鬱な気持ち」が、ずっと心に居座るようになります。

そして、「喜びや興味の減退」という症状が、憂鬱さに拍車をかけてしまいます。

 

うつ状態になると、今まで楽しめていたことが楽しいと思えなくなり、興味や関心を抱けなくなります。

そのため、何をしても気持ちが晴れません。

 

この状態は、かなり疲労が進んでいます。

 

何かに喜んだり楽しんだり、関心や意欲を持つということは、それなりのエネルギーを要するため、

疲労が蓄積され、うつ状態が進むと、「何も楽しいと思えない状態」になってしまいます。

 

思考力の低下

「思考力の低下」もうつ病の中核的症状です。

思考力の低下により、「字が読めない」「いつも30分でできた作業に何時間もかかる」「人の言っていることが理解できなくなる」などが起こります。

 

「思考力の低下」はあらゆる場面で影響を及ぼします。

集中力の低下作業能力の低下などを招きます。

そして、エネルギーの低下も加わって、「片づけができない」「掃除ができない」「家事ができない」等と日常生活にも支障が出ます。

 

重くなると

うつ状態が進むと、「罪業妄想」「貧困妄想」といった、

自分に関する破滅的な妄想を抱いてしまうことがあります。

 

ポイント

罪業妄想…「自分は人を傷つけてしまう」「何か悪いことをしてしまったのではないか」と、自分が不適切な行いをしてしまうという思い込み

貧困妄想…「お金が全然無い」「この先、自分はお金に苦労する」等と、お金に関して過度に心配すること

 

どちらも、「妄想」であり、事実とは異なることが特徴です。

けれども、本人は真実であると認識して追い詰められてしまいます。

また、「ふと涙が出て止まらない」という症状も、うつが進行していくと見られます。

 

日常場面では

実際の「うつ」をイメージします。

 

いつも心が沈んでいて休んでいても苦しいです。

動くことも寝ることもできずにただ居るだけが精一杯になります。

部屋は散らかり、お風呂に入ることがしんどくなります。

「ラインを返す」など、一見ごく簡単な作業にみえることでも一苦労で返事ができなくなります。

頭の中は「自分はダメだ」等の自己否定が繰り返されます。

何をしていても気持ちが晴れることはなく、

焦りや不安も強くなります。

 

症状の進行は実は徐々に進んでいたとしても、

ご本人が気付いたときには「部屋から出られない」という状態になってからであることも珍しくありません。

そのため、「仕事に行こうとしてもどうしても家から出られない」という状態になって初めて自分の病気を認識することもあります。

 

対処法

まず「不調に気付く」ことが何よりも大切だと思います。

なので、今回は、「早期発見」のための「SOSのサイン」を無視せずに受け取れるようになれればと思い、

「症状」に特化してまとめました。

この記事にあるような不調が続いていたら、ご自身を大事に労わって欲しいと思います。

 

早期発見が重要

うつ病に限らずではありますが、精神疾患も早期発見が本当に大切です。

体の病気と同じです。

体の病気なら「根性が足りないせいだ」とはならずに「早いうちに病院に行っておこう」「早めに休もう」という共通認識があるのに、

精神疾患はまだまだ広まってないので、今後もがんばって正しい知識を広めていきたいと思います。

 

病院を受診する

「眠れない日が続いている」「職場で嫌なことが重なっていて憂鬱な日々を送っている」ようなとき、

心療内科を受診してみて良いと思います。

 

最近はほとんどのクリニックは、カウンセリングも行っていますし、また、漢方薬の処方もしている心療内科や精神科がほとんどです。

お薬も安全で効果的なものになっています。

こういうときこそ「風邪をひいた」くらいの気持ちで「病院を受診しよう」と思ってくださるといいなと思います。

 

「うつかどうか」は、ご自分でわかってなくていいのです。

それは医師が行いますから、「こんな程度で行っていいのか」と思わずに、

「自分の状態の検診」くらいに思って、あまり酷くならないうちに受診されることをお勧めいたします。

 

体と心の休養を

そうはいっても、病院の受診だけが全てではもちろんありませんので、

意図的に休日を増やしてゆっくりしたり

何がしんどいのか書き出してみて整理したりするようなことでも、

充分に効果的だと思います。

 

うつ病で苦しいのは、「休んでいても苦しい」ということなんですよね。

健康な人がイメージする休養とは全く違う。

ただ、「休んでいても自己否定でいっぱい」という状態が症状でもあり、

そのまま動かないことが、しんどいけれど意味のある休養になっていることがほとんどなので、

せめて、「自己否定している自分を自己否定する」ことはしないで欲しいなと思います。

 

うつ病の回復過程は、複雑骨折に例えてこちらの記事で書いています。

 

周囲の理解が必要

一昔前に「うつ病はこころの風邪」というフレーズが流行りました。

これはもともとは「うつ病に対する偏見をなくし、誰でもなる病なのだと周知する」ことを目的としていたのだろうと思います。

しかしながら、「風邪」と表現したことで「軽い」「ちょっと休めば治るはず」という誤解をまねいてしまった面があります。

そしてこういう誤解をする人は、「うつ病とは縁がない」と自分で自分を思っている人に多いと思います。

そのために、まだまだ誤解されていると思います。

誤解の代表例が「心の病はメンタルが弱いから」という意識。

ここでいう「メンタルが弱い」は「我慢が足りない」系の根性論を意味しています。

 

それを以前ツイートしたらバズリました。

バズッたということは、

本当に多くの人が「メンタルが弱いからうつ病などの心の病気になるんだ」という意識に苦しんでいるのだと実感しました。

 

↓こちらのツイートです

 

うつ病に限らず、他の心の病気でも、家族の理解は回復に大きな影響を与えます。

これも体の病気や怪我と同じです。

体が病気であったり大怪我をした家族がいた場合、何がしんどくてどう手伝ったらいいのか、

家族が理解して見守ることができたら回復が早いですよね。同じことが心の病気にもいえます。

例えば、足を骨折している人に、走るように促したり、「何でさっさと歩かないんだ!?」と責めたりするでしょうか?

うつ病も同じで、「動きなさい」「なんで働かないんだ!?」というのは、

先の骨折の例と同じくらい悪化させる対応であり、

厳しい言い方をすれば、優しくない、知識が無い、ということになります。

 

ご家族へ

うつ病に限らず、心の病気は、目に見えないために本人も見通しがもてず、自分を責めています。

もし、ご家族の誰かがうつ病になったら、どうか、ご本人を責めないでほしいと思います。

誰も好きで落ち込んでいるわけでも、働かないわけでもないのです。

 

怠けではない 

よく「怠けている」という見方をする方がいますが、

人間は基本的に、普通に学校に行ったり仕事をしたりといった社会生活を人並みに営みたいのです。

そうしていたほうがよほど気持ちが良く、健康でいられるのです。

そういった社会生活を送れないということは、

それだけ大変な状態であるのだとどうかご理解いただきたいと思っています。

 

また、決して「恥ずかしいこと」などではありません。

体の病気は「恥ずかしい」などという気持ちにならないのに、どうしてでしょうね…。

どうか、病気で苦しむご家族を、間違った先入観で見ないでほしいなと思います。

 

すごく頑張って、周りに迷惑をかけないように、

自分の許容範囲をこえてまで病気になってまで、がんばり過ぎたのかもしれないのです。

 

ご家族が焦らせないように  

またさらにお願いが許されるなら、「早く良くなって」と焦らないでほしいと思います。

これはすごく難しいことだと分かっているつもりです。

だからこそ、どうかご本人を信じて、わからないことがあったらご家族も医療機関を受診して

回復過程や接し方について助言をもらっていいと思います。

 

家族の傷つき

暖かいご家族の方であると、家族の誰かがうつ病になったら、ご家族も傷つくことがあります。

これはおかしい反応ではありません

例えば、家族の誰かが怪我をしたり病気になったりしたら、愛情のある優しい人なら、

家族の誰かが傷ついていることに自分も傷つきます。うつ病など心の病も一緒です。

ただ、心配なのは、愛情があって優しい人こそ「自分のせいで病気になったのではないか」と、自分を責めてしまうことです。

でもきっと、ご病気になったご本人は、そんな風には思っていないかもしれませんし、

それで誰かが「自分のせい」と思ってしまったら、つらい状態も隠そうとしてしまうかもしれません。

何らかの被害に遭うなど、明らかに「誰かのせい」というケースも少なくありませんが、

 

誰のせいでもないことも多いです。

 

そして、「自分のせいかもしれない」と、その人の苦労を背負おうとするくらいのお気持ちは、愛情と共感でもあると思います。

 

 

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私自身も気をつけなくてはいけないと日々思うことは、

「知識が無い」ことよりも「間違った先入観が正しいと思い込むこと」が一番危険だと思います。

知らなくたっていいと思います。

ただ、大事な人を傷つけないように、その人を知ろうとしていけたらと思います。

 

今回は、誰でもかかる「うつ病」について整理しました。

実際は、もっと複雑なケースもあります。

ただ、まずは少しでも不調に気付けるようになれたらいいなということと、

少しでも社会から偏見が減るといいなという視点でまとめました。

 

「うつ」との関連が指摘されている『認知の歪み』についての記事もありますので、ご興味があればぜひ!

また、「うつ病」と症状が似ている『適応障害』についても記事にしています。

 

いつもより長くなってしまいましたが、お読みくださってありがとうございました!

また覗きにいらっしゃってください♪

 

 

 

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