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トラウマ 性被害サバイバーの1事例

ある性被害サバイバーの話27 ~「自分のせい」と思う理由~

2021年5月6日

「ある性被害サバイバーの話」を最初からお読みいただくときはこちら

前回のお話はこちら

 

今回は、エピソードの続きではなく、

被害者の方に多く見受けられる「自分が悪かったから」「自分のせい」と、

被害に対して自責する心理について、理解していきたいと思います。

 

「自分のせい」と思う理由

被害者の方に多く見受けられる「被害に遭ったには自分が悪かったから」という心理作用の原因はいくつかあります。

それらをみていきます。

 

もちろん、加害者に「そう思わされた」ことが自責の主な原因になっていることもあります。

ただ、「自分は悪くなかったのだ」と分かった後でも「自分にも何か悪いところが」と思ってしまうことが続くことがあります。

ここでは、いわゆる「洗脳」のような他者からの作用によるものではなく、自ら出てくる心理作用を取り上げます。

 

耐えるため

人は「理由や意味のないことは耐えられない」という基本的な性質があります。

そしてこれは、苦しくつらいことであればあるほど、そこに意味がなければ耐えられません。

だから、耐えるために理由を見つけようとします。

それが「自分が悪かったから」「自分が変われば」等となることが多いです。

 

社会は「耐えるため」の理由にあふれている

少し話を広げます。

この「理由がないと耐えられない」という人間の特性をよくつかんで

「耐える」方向への『言い伝え』はたくさんあります。

例えば、昔の日本であれば仏教での教えです。

「現世は修行。耐え抜いたら来世でレベルアップできる」という風な、

「今の苦しみの意味」を無理やりひねり出していると思っています。

そうでないと、耐えられないから。

 

他にも典型的な例はたくさんあって、「出産はお腹を痛めて産むから可愛がれる」や「給料は我慢料」など、

いたるところに「苦しみに無理やり意味を見出して耐え(させ)ようとする」考え方はあふれています。

 

「耐えない」方向には罪悪感を抱く

加えて、これらの「耐えるための非論理的な理由付け」は、

反対のことをすることに罪悪感を抱かせます

人は、「罪悪感」や「恐怖」「不安」にコントロールされやすい。

だからなおさら、「耐える意味」を信じてその方向に行きがちです。

これらは、人間の心理をついています。

だからこそ気付き注意したいです。

目的は「耐える」ための理由付けであり、

「幸せになる」ための理由付けではないのです。

 

さらにいえば、このような非論理的な理由付けによって「耐える」ことは誰のためかというと、

耐える人本人のためではない。

先ほどの「来世で報われる」は、社会の安定のためでしょう。

「出産の痛みの神化」や「給料は我慢料」も会社や社会の維持に都合がいいのです。

 

納得したい

個人レベルに話を戻します。

「耐えるため」に繋がりますが、人には「納得したい」という心理があります。

犯罪被害は理不尽で、被害にあった理由などありません(と私は思っています)。

でも、それでは被害者としては納得できない。

納得できない状態というのは人間にとって耐え難いものです。それが人生を狂わすほどの出来事であったらなおさらです。

「運が悪かった」で済ませられることではありません。

そこで、「自分が悪かったのだ」と納得しようとすることがあります。

 

怒りの抑圧

また、「自分が悪くなかったとしたらあまりの理不尽に耐えられそうもないから」という気持ちの中には、

怒りの抑圧があることも少なくありません。

「怒り」を感じることは回復に必要で、とても重要です。

(「怒り」についてはこちらの記事で詳しくつづっています)

けれど、すごく抱えにくく、扱いが難しい感情でもあります。

そのため、無意識的に、自分で抱えきれないほどの怒りがあるときには、

それを抑圧するために、「自分が悪かったから」と思うことがあります。

ただ、その抑圧が悪いということではなく、

抱えられるくらいの怒りになったら、対処できそうになったら、

内包している怒りが出てくることが多いです。

 

予防のため

「自分が悪かったと思って気をつけることで今後の被害を防げると思いたい」という今と将来を歩いていくために、

恐怖に巻き取られてしまわないように、「自分が気をつければ防げる」と思うことがあります。

 

どれも自然な反応

自分を理解することはとても大事だと思っています。

そして、被害者の人が「自分は悪くない」としっかりと思えるようになることを応援したいと思っています。

 

ただ、今回書いた反応が「悪い」わけでは全くありません

自然な反応です。

 

ここで書いた以外のこともありますし、複数が作用していることもありますよね。

そして、このような心理作用は、なんとか生きようとしているから。。

それは人間としての感情や思考や意志などよりも原始的な生命体としての生存本能が働いているのだろうと思います。

 

「どうして自分は自分が許せないのか」

「頭では自分は悪くないと分かっているのに、自責感が取れないのか」等と悩まれている人がいらっしゃったら、

整理の助けになれたらと思っています。

 

「自分が悪かった」と思っているときも、怒りがでてきたときも、

そのときどきでそういう自分を理解できるといいのかなと思います。

 

 

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お読みくださってありがとうございました。

次回は、「再演」というトラウマ反応について解説しています。

「なぜ何度も被害にあってしまうのか」理解していけたらと思います。

今回の記事「ある性被害サバイバー27」の続きはこちら↓

「ある性被害サバイバーの話28」

 

今後も、エピソードだけでなく、被害者の方が抱えがちな心理について取り上げていきたいと思っています。

 

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