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性被害サバイバーの1事例

ある性被害サバイバーの話⑩ ~PTSDとうつ病の発症と無治療~

2021年3月18日

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大学を休みがちになったもう1つの理由は「大学に友人がいなかった」ことがあると思います。

文科系だったのでもともと友人は作りにくい環境ですが、

私は1年のころから休みがちだったため、

同級生が集まる出席日数重視の必修授業から早々にドロップアウトしており、友人ができず、

授業を1回休むと進度や次回の宿題を聞ける人がいなかったことも大きく影響していたと思います。

(これも一種のソーシャルサポートの欠如といえるかなと)

 

「やらなきゃいけないことができていない」という罪悪感、

自責の念は自分の存在否定まで至る感情ですね。

こういうときはうつ状態であることが多いので、

「やるべきことをできないことによる直接的な罪悪感」と「うつ状態による症状としての自己否定感」が相乗効果のように

「自分はダメな人間だ」と思ってしまう傾向が強まるので、

そんな場合はどうか1人でなんとかしようとせず、病院を受診するなどの対処していただきたいと思います。

 

回想:社会生活がままならなくなっていいく

大学1年から3年までの間に

・3ヶ月単位で登校できなくなる

・抑うつ的になり死のうと思う

・朝まで全く眠れない日が続き、眠れないと抑うつが悪化する

・眠れたとしても酷い悪夢をみる。

・掃除できない。部屋はゴミがあふれ出す。

・友人と約束しても、約束した日に出かけられるかわからない。

・友人からの連絡を返せなくなっていき、音信不通になる。

こんな状態になっていきました。

 

一番辛かったのは、酷い不眠症と、うつ病でした。

不眠症は、ちょっとの明かりや時計の秒針の音さえだめで起きてしまいました。

ドアをバタンと普通よりも大きな音を立てて開け閉めする家族になんど殺意をいだいたことか(笑)

 

「死にたい」「死にたい」と思い、でもできず、沼のような底でただうずくまっている…。

それが3年間で定期的に訪れます。

ただ、3年目ころに「だいたい3ヶ月だ。3ヵ月後にちょっと変わる」とツライ中でも見通しが持てるようにはなっていました。

でもつらかったです。

 

また、「死にたい」という希死念慮は、中学時代からずっとありました。強くなったのが大学入学後以降。

「性犯罪されるくらいなら殺してくれればよかったのに」と思い続けます。

その後も「生まれてこなければよかった」という気持ちはずっと持ち続けます。

 

解説:「過覚醒」が顕著だったケース

私にとって一番重かった症状は「不眠症」です。

ウトウトもできない完全な覚醒状態で朝までが連日でした…。

それがPTSDの「過覚醒」という症状であると心理士になろうと勉強し始めてから知ることになります。

私のケースは、「過覚醒」が非常に強く、他の症状は弱かったといえると思います。

症状が顕在化してから、解離症状はあまり見受けられなかったと思いますし、

常に事件のことが頭に流れていて眠れなくて、突き詰めて考えていました。

 

ポイント

「過覚醒」とは、「過度に覚醒した状態」で、過剰に緊張したり警戒したりすることでリラックスできない状態をいいます。

PTSDの代表的な症状の1つで、「眠れなくなる」「小さな音にも敏感になる」などの状態になります。

 

また、「性犯罪は魂の殺人」と言われている通り、

私のように「殺されたほうがよかった」と思う場合は多いですよね…。

 

余談

私は重い不眠症に一番苦しみ、そして不眠は他のPTSD症状がほぼなくなってからも続きました。

そのため、私は寝ることに強い執着心があります笑。

「眠れるってすばらしい!」なので、「寝子」というHNは、

「寝」るのが大好きであり、女であることがわかる「子」ということから付けました。

(どうでもいいわ!ですが、ちょっと気晴らしになればと笑)

 

回想:ただただ悪化

学校に行けないこと、部屋がゴミだらけになっていくことを、

家族に責められるだけじゃなく、誰よりも私自身が私を責めていました。

「怠け」だと、ものすごく重い心と身体を抱えながら、

それでも「怠け」だと思っていました。

 

解説:うつ病の症状の説明

今なら立派なPTSDうつ病であると分かる。

でも当時は、わけが分からなかった。

今のようにSNSがなかったこと、

心療内科やカウンセリングが今ほどメジャーではなかったことによる

情報不足が大きく影響していたと思います

 

「怠けだと思う」原因は、

うつであると「自己否定感」が増すからということと、

うつ病の代表的な症状である「思考力の低下」も影響していると思います。

論理的に考えれば、異常事態に間違いないのに、

「思考力の低下」により適切な判断ができなくなる。

 

注意ポイント

うつ病は「気持ちの落ち込み」「睡眠障害」が有名ですが、

「思考力の低下」も極めて重要で知っておきたい知識です。

この「思考力の低下」により、

作業効率が落ちる・今まで短時間でできていたこともできなくなる・人に言われたことが理解できなくなる

などし、失敗が重なり、さらに自己否定感を強めてしまいます。

「病気の症状である」ことをぜひ知ってもらいたいと思います。

加えて、本が読めなくなる・テレビの内容が入ってこない・片づけができなくなることも代表的な症状です。

 

うつ状態の人が、できない自分を「怠け」と責め続けてしまうことを

仕事で何人も見ました。上記のようにそれは症状なのですが、それでも自分を責めてしまう方に、

「怠け」と「症状」の見分け方をお伝えします。

 

注意ポイント

やらなくてはいけない事柄をやらなかった時間、

・楽しめていたら「怠け」

・楽しめるどころか暗く沈んで他のこともできず時間が経っていたら「症状」

うつであると、何もしていなくても心は暗くしんどいです。

でも、それでも「何もしない」でいることは休養になっていることが多いです。

なので、症状としても対処法としても「何もしない」ことしかできないし、

それがそのときの適切な対処になっていることが多々あります。

なので、どうかご自分を責めず・・・。

楽しめていないなら怠けじゃない。

 

この後、大学3年の中ごろにあまりにも不眠が酷くなり、

状態が悪くなり、初めて心療内科を受診します。

 

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小さいころから誰からも情緒的サポートを受けておらず、

「この重荷を誰かにわかってほしい」と強く思っていました。

でもそれは不可能なことであると今後わかっていきます。

 

次回、ようやく病院を受診します。続きはこちら

 

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