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病気のお話

【双極性障害】躁状態が激しいⅠ型とはどんな病気!?

2021年5月27日

 

今回は、『双極性障害』という病気を理解していきたいと思います。

 

実はけっこう前に「双極性障害Ⅱ型」については記事にしていますので、ご興味があればぜひ!

 

今回は、「双極性障害Ⅰ型」に焦点をあてます。

 

「躁状態」と「うつ状態」は連続体になっていますので、

双極性障害Ⅱ型」の記事「うつ病」の記事と重なる内容があります。

 

双極性障害Ⅰ型とは?

「双極性障害Ⅱ型」の記事と重なりますが、

双極性障害とは、「うつ状態と躁状態を繰り返す病気」です。

 

そのうち、躁状態の程度によって、Ⅰ型とⅡ型に分けられます。

躁状態の程度が重い場合が「双極性障害Ⅰ型」となり、

躁状態が軽い場合が「双極性障害Ⅱ型」となります。

 

双極性障害Ⅱ型の躁状態は軽いために、気付きにくく、

うつ病と誤診されてきた歴史があると双極性障害Ⅱ型の記事で書きました。

 

一方で、双極性障害Ⅰ型の躁状態は、「気分が高揚する」という程度が重いために、

気付きやすくはありますが、うつ状態との差が激しく、生活にダイレクトに影響を及ぼします。

 

Ⅰ型の躁状態とは

Ⅰ型の躁状態の期間は、うつ状態よりも短いことはⅡ型と共通しています。

ただ、Ⅱ型に比べてⅠ型の躁状態は、社会生活に支障をきたすことも多々あります。

 

ポイント

双極性Ⅰ型の躁の7つの症状

誇大妄想…他者の気分を害しても揺るぎない自信

睡眠…徹夜を頻繁にする、睡眠時間が極端に短くなる

多弁…周囲が止められないほど話す、内容が理解できないことも多い

まとまらない思考…考えが飛ぶ、すぐに変わってまとまりがない

注意力散漫…必要な事柄に注意を向けられない

過活動…衝動を抑えられず行動してしまう。逆に、何も手につかなくなる

痛ましい結果を招く…借金や違法行為などをしてしまう

 

双極性障害のⅡ型は、この躁の内容が軽いあるいはあまりないという程度の問題になります。

 

実際の状態をイメージしてみる

躁状態の気分と行動をイメージしやすい言葉に置き換えます。

ポイント

躁状態の気分

・何でもできるような気がする

・エネルギーにあふれる

・気が散る

・異常に集中する

 

ポイント

躁状態の行動

・多弁になる

・睡眠時間が極端に減る

・徹夜をする

・高額な買い物をする

・暴力的になる

 

「躁状態」はとても元気でアグレッシブになり、頭の回転が速くなります。

「徹夜で仕事をする」「話題がころころ変わる」「気前が良くなる」などの行動が見受けられます。

「双極性障害」の場合は、強い「多幸感」「なんでもできる感じ」という感情が、ダイレクトに伝わってくることが多いです。

「躁状態」であると、「陽気」であることが多いですが、

逆に、「イライラ」「不機嫌」として出ることもあります。

 

Ⅰ型の躁状態は行動化しやすい

Ⅰ型であると、「気持ちが高ぶる」という精神的な問題の範囲で収まらず、

行動化しやすいことが特徴です。

「職場でケンカした」「借金を繰り返す」などの行動化がⅠ型の躁状態には起きるため、社会生活に支障をきたしてしまいます。

場合によっては、他者への暴力や自傷行為などの危険な行動化もあり、入院が必要になることも珍しくありません。

 

混合状態

Ⅰ型にも、Ⅱ型と同じく「混合状態」という「躁状態とうつ状態が混ざった状態」があります。

この状態はとてもツライ状態です。

頭の回転は止まらないのに気持ちは落ち込んで「自分はダメだ」と繰り返し思ったり、

イライラし、でも体が動かず、そうかと思えば急に人と話したくて仕方がなくなったり、

どうしていいのかわからずとても苦しい状態です。

意欲的でまだエネルギーがあるために、危険な行動に出てしまう可能性があり、とても心配な状態です。

 

ひとこと

双極性障害はⅠ型もⅡ型も「混合状態」は、本当にしんどい状態だと思います。

それでも、「今の状態は混合状態だから」と「病気が引き起こしている。いずれ終わる」と理解することで、

何とか踏み留まれることがあるかと思います。

 

うつ状態

双極性障害のうつ状態は、「うつ病」と同じです。

「うつ病」の症状についてはこちらの記事で細かく書いています。

 

双極性障害Ⅰ型の場合、躁状態のときの「その人」と、うつ状態の「その人」では、

「まるで別人」かのように様変わりします。

 

そのため、周囲の理解や共感が得られにくいという苦しみも伴います。

 

また、双極性障害ではなく「うつ病」であれば、「休むこと」を治療の主軸にしていいことが多いです。

けれど、双極性障害の場合、「下がりすぎると上がりすぎる」ということがあるので、

できることなら、うつ状態のときも生活リズムを守れるようなら守るなど、したほうがいいことがあります。

 

そうは言っても、重いうつ状態のときに「何とかしよう」としてもできないことが多いのが現実です。

だからこそ、「躁状態のときの対処」がとても重要になります。

 

なぜ双極性障害になるのか?

ストレスが心の病の誘因になることはご存知の通りかと思います。

生育歴の環境や成人後のストレスは充分に発症の原因になります。

 

その上で、双極性障害は、遺伝性が大きく影響していると近年明らかになってきています。

双極性障害は「Ⅰ型の家系ではⅠ型が。Ⅱ型の家系ではⅡ型が」という傾向がみられると指摘されています。

 

双極性障害は、「うつ病」や「統合失調症」などと間違われずに、正しい診断が行われ始めたのはまだ最近といえます。

そのため、ご両親や祖父母の代では診断はされていなかったかもしれません。

でも、ご両親が「たびたびうつ病になっていた」「情緒不安定だった」といった場合には、

双極性障害と診断されていなかったとしても、医師に伝えてほしいなと思います。

(もちろん、診断に際し、医師から聞き取りがなされることと思いますが念のため)

 

また、ご本人は「躁状態」に関しては、自分の状態を客観的に把握できていないことも多いです。

そのため、ご家族や周囲の人からの情報は大切です。

 

対処法

双極性障害は、うつ病と同じ「気分障害」に分類されていますが、

「躁状態があるかないか」は極めて重要で、対処法も変わります。

 

ただ、「うつ状態」「躁状態」は「気分の変化」という連続体であります。

そのため、「躁状態」とまではいえなくても、

「気分が良いとつい動きすぎてしまう」という方にも、双極性障害の対処法は参考になるところがあると思います。

 

躁状態を正しく理解する

どの病気も、その病気を正しく知ることは大切です。

双極性障害は特に、躁状態は「気分が良い」ために問題意識を持てないことがあるため、

「躁状態に関する理解」を深める必要があります。

 

人のメンタルは「上がったら下がる」が原則です。

これは、病気に関わらず共通しています。

そのため、「ずっとハイでいる」ということは不可能で、「上がった分だけ落ちる」ということです。

そうなりますと、「躁状態が酷いとうつ状態も重くなる」のです。

 

なので、気分が良かったとしても「躁状態は病気の状態」と理解し、

「上がり過ぎないように注意する」ことが、後の「うつ状態」の程度も抑えられることになります。

 

「躁的なときにはうつ的な行動を」

「上がり過ぎない」ためのポイントは、動き過ぎないこと。

精神的なハイをどうにかするよりも、

「活動をあえて控えめにする」ことが非常に重要です。

 

注意ポイント

「躁」という状態は、気持ちの面だけでなく、

「行動すればするほど」「人と接する回数が増えれば増えるほど」躁状態になりやすいといわれています。

そのため、気持ちに任せて行動してしまうと、さらに気持ちもハイになり、また行動し…と、上がってしまうので、

「躁的なときにうつ的な行動を」

がスローガンになっています。

 

どうか、予定は入れ過ぎないようにお願いできればと思います。

 

そうは言いながらも、「躁状態」よりも「うつ状態」のほうがはるかに長いので、

「躁状態」になったときに「動き過ぎないように」と言っても、

うつの時にできなかったことを、いつ終わるかわからない「躁状態」になったときに「やっておこう」とすることは、

責められないなぁとつくづく思います。。

 

薬物療法

双極性障害の場合は、一般的に服薬が必須となります。

そのため、信頼できる病院に通うことがとても重要になります。

「躁状態」になりますと、本人は気分が良いので、通院を辞めてしまうことも少なくありません。

しかし、躁状態こそ服薬などの正しい対処が必要です。

 

また、双極性障害Ⅱ型の記事でも述べていますが、「うつ病」との鑑別診断が極めて重要です。

Ⅱ型に比べるとⅠ型は間違えられにくいと思いますが、

「うつ病だと思っていたら双極性障害だった」ということもありますので、

気になる症状があれば、病院を受診して医師にご相談して欲しいと思います。

 

生活リズムを守る

先ほどの「メンタルは上がったら下がる」という心の基本原則から、

できるだけ、活動量を一定にすることが有効な対処法になります。

 

特に「睡眠」は守りたいです。

日中の生活も、例えば「人との接触をある程度一定にする」等の方法もありますが、

まず、「睡眠リズムを乱さない」ことは生活リズムの要です。

 

躁状態になると「寝ようとしても眠れない」ということにもなりますので、

そういったときも医師に相談し、服薬するなど、できるだけ睡眠は一定を保てるように意識したいです。

 

双極性障害であると、私は基本的に「生活記録」をつけるよう勧めます。

「生活リズムを意識的に整える」という効果もありますが、

後から見返して「自分の体調や活動内容を正しく知ることが出来る」というメリットに重きをおいて取り入れています。

 

症状と付き合っていく

きちんと通院し、きちんと服薬し、生活リズムを守ると、

比較的落ち着いた生活を営めることが多いですし、危険な行動は制御できるようになれます。

 

けれど、ご本人の心の波がゼロになっているわけではありません。

そして、「躁状態」も「うつ状態」も「混合状態」も、それらがいつ来て、いつ去っていくか、ご本人にはわかりません。

過去の経験から「そろそろ、うつ期かな」位は予想がついても、コントロールできません

誰でも、自分の体調や気分をコントロールできるわけではありません。

ただ、その程度が重く激しい双極性障害の方のストレスや疲労は計り知れないと思います。

 

双極性障害は「治そう」というより、「病気と付き合っていく」という向き合い方になるかと思います。

 

ご家族の方へ

双極性障害は、ご家族の方がお気づきになることも珍しくありません。

ぜひ、ご家族とご本人と一緒に受診していただけたらなと思います。

ご家族から見たご様子も教えていただき、ご本人とご一緒に今後について話し合えたらとてもいいと思います。

 

双極性障害も、ご家族が病気についての知識を得て、ご本人と話し合いながら支えていけたら本当に素晴らしいと思います。

 

症状はゼロにはならない

精神疾患に関して、ご家族や周囲の方に知っておいて欲しいことの1つに、

「薬を飲んでも精神症状がゼロになるわけではない」ということがあります。

これは、双極性障害もそうですし、うつ病や不安障害などの他の精神疾患も同様です。

「適切な治療を行っていてもご本人の苦痛は続いている」ことをご理解いただけたらと思います。

服薬や心理療法で症状の程度を抑えることはできますが、ご本人の苦しみがなくなるわけではないので、

長期的にサポートしていただきたいなと勝手なお世話ながら願っています。

 

繰り返しになりますが、「躁状態」が発見しにくい「双極性障害Ⅱ型」についても記事にしてありますので、

お読みいただければ幸いです。

 

 

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双極性障害のケースは、「ご本人がどう生きたいか」ということを考えさせられることが多いです。

「躁状態」の活動を抑えることは病気の対処としては予後を良好にする可能性が高いため、とても重要です。

一方で、「病気に縛られているばかりで苦しい」というお気持ちもお聞きします。

そういったお気持ちやご本人の意志も大切にしていき、病気との折り合いをつけていけたらと思っています。

 

次回の精神疾患の記事では、『適応障害』について整理しています。

ご興味があればぜひ!

 

最後までお読みくださってどうもありがとうございましたm(__)m

 

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