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心理豆知識

【解決志向アプローチ①】「ミラクル・クエスチョン」と「例外の発見」~ポジティブな心理技法~

2021年7月13日

 

今回は、日ごろの会話に役立つ聞き方や、行き詰ったときに打開策のヒントになる心理技法をご紹介したいと思います。

 

今回取り上げる技法は、心が病んでしまったときというよりは、

日常場面で役に立つスキルだと思います。

 

「相談されてもうまくアドバイスできない…」「できなかったときだけ原因を追及する」というようなときの助けになったらと思います。

 

ブリーフ・セラピー

認知行動療法など、心理療法にはたくさんの種類があります。

その中の1つに「ブリーフ・セラピー」があります。

 

「ブリーフ・セラピー」とは、「短期・簡潔」の意味で、

現在は「解決志向アプローチ」と称されることが多いです。

 

歴史的に、それまでの心理療法が長期間を要することを前提にしていたところに、

この「ブリーフ・セラピー」は革新的だったことと思います。

 

解決志向アプローチ

「解決志向アプローチ」の意味する「解決」は、

「今抱えている問題がなくなること」ではなく、「少し先の未来がより良くなること」を目指します。

 

解決志向アプローチの理念は大きく3つです。

ポイント

・原因や背景を追及しない
・どうすれば解決するかに焦点を当てる
・行動(変化)を起こすことで解決につなげる

 

原因や背景を追究しないことで、問題を不要に長引かせたり自信を失ってしまったりすることを防ぎます。

 

リソースの発見

このアプローチ法が最も大事にしている点は「ポジティブな側面への注目」です。

 

悩みや不適応行動を解決しようとしたとき、

私たちは「なぜできないのか」「どうして嫌なのか」とネガティブな要因ばかりを検討しがちです。

 

しかし、解決志向アプローチでは、「できないこと」ではなく「できていること」に注目し、

「嫌な事」ではなく「好きな事」を強化するように試みます。

 

自分の持っているポジティブな資源を「リソース」と名づけ、

この言葉は今ではブリーフ・セラピーに関わらず心理の現場で使用されるようになっています。

 

デメリットが少ない

自分の悩みや苦手なことを克服しようとしたとき、

嫌な事を反芻することで再度傷ついてしまったり、

対処が合わなかったときに結果としてとても疲弊してしまったり、

少なからず副作用のような影響を及ぼします。

 

「できないこと」「苦手なこと」を追及して克服しようとすることは、

かなりの負担を伴いますし、さらに自信を失ってしまうなど自己否定を強めてしまうこともあります。

 

一方、「その人のポジティブな資源を発見して強化しよう」という解決志向アプローチは、

デメリットが少ないという利点があります。

 

「ポジティブなことを考えるのがしんどい」という状態であると避けた方がいいですが、

リソースは本当にどんな方でもたくさん持っていらっしゃいます

 

冒頭に「心が病んでいる場合ではなく、日常場面で有効」と書きましたが、

エッセンスとしては病気に対するアプローチとしても使用できます。

 

では具体的な技法を2つご紹介していきます。

 

ミラクル・クエスチョン

ミラクル・クエスチョンとは、「奇跡の質問」といわれ、悩みを解決する質問法です。

 

知人の相談に乗るときや上司が部下の面談をするとき、

さらに子育てにも非常に使える会話術と思います。

 

あなたが寝ている間に奇跡が起こり、あなたの問題はすべて解決したとします。

でもあなたは寝ているので奇跡が起きたことは知りません。

朝起きて、昨日とのどんな違いからあなたは奇跡が起こったと知るのでしょう?

 

この質問をすることにより、

ポイント

*問題を乗り越えたとき具体的に何が変わるのか。

*どうなっていれば「解決」なのか。

*自分はどうなりたいのか。

 

ということがクリアになります。

 

これを日ごろの会話でどのように使用できるか2パターン見てみましょう。

 

例:知人からの相談

友達や知り合いなどから、ふと相談される機会がありますよね。

そんなとき、「一生懸命相談にのったけど、終わりがなんだか暗くなってしまった」なんてことがあるかと思います。

 

ミラクル・クエスチョンの手法を取り入れると、

相談した人もされた人も、前向きな明るい気持ちになれるかもしれません。(ミラクル!

 

【事例A:知人からの相談】

「転職してみたいけど自信がなくてできない…」

 

という相談を受けたとき。

 

通常は「どうして踏み切れないのか?」「なぜ転職したいと思ったのか?」という

“なれないこと”や“原因探し”に焦点づけることが多いのではないかと思います。

 

あるいは「考える前にとりあえずやってみよう!」と励ましたものの、

相談した相手はそれでも行動できないから相談しているのであって、

「相談しなければよかった」と思われてしまう…。

 

そんなとき、ミラクル・クエスションを応用して質問してみます。

 

「転職がうまくいったらまず何をしたい?」

 

と聞いてみます。

 

今抱えている問題が消失したら人生はどんな風になるのかを思い描いてもらいます。

そうすることで「本来ありたい姿」へ進んでいけるきっかけとしていきます。

 

すると、一番やりたいことが明白になり、

「ではそのために今何をすべきか?」について、生き生きと具体的になっていくことができます。

 

人は、「質問されないと答えられない」という無意識があるといわれています。

この質問をすることで、本人も気づいていないリソースを引き出すことができる質問です。

 

ちなみに、当初話していたことが本当にやりたいことではなかったという気づきが得られることも少なくありません。

 

例えば、「転職したらまず引っ越したい」という思いが浮かんだとしたら、

本来は「転職」よりも「引越し」などの「環境の変化」を望んでいるという気付きになるかもしれません。

もしかしたら、現状の自分になにか物足りなさを感じているのかもしれないですよね。

 

このように、意外な気持ちに気付くことができます。

 

例:子育て

「つい子どもに怒ってしまうんです」「言っても言ってもきかなくて嫌になってしまいます」というお母様のご相談をお聞きしていて、

本当に日々の仕事や家事や育児に奔走されている方々に頭が下がりっぱなしです。

 

ミラクル・クエスチョンは、子育てにも使えます。

【事例B:子育て】

「宿題をしなさい」と言っても「やりたくない」と言いやらない。

 

そんなとき、「宿題が終わっていたらどんな気持ち?なにがしたい?」と聞いてみます。

すると、「スッキリする!!」「ゲームしたい!!」と元気に返してくれるかもしれません。

 

実際はそうは甘くないかもしれませんが(^^ゞ、

 

もし「スッキリしてゲームがしたい」と答えてくれようものなら

「じゃあ今なにをしたらいい?」と質問を続けたらすんなり机に向かうかもしれません笑

 

視点を変える効果

例は、健康な場合の実生活に近づけましたが、

ミラクル・クエスチョンは、「ありえない返答」でいいので、

ときにはゲーム感覚で会話の題材にするのも面白いかもしれません。

 

また、「できないこと」「ダメなところ」ばかり考えて苦しくなっているようなときに、

一見「ばかばかしい」ようなお題を考えてみる

 

それだけでも新しい風が入って、少し和らぐことがあります。

 

精神疾患の場合

「解決志向アプローチ」とは厳密には少し異なりますが、

カウンセリングで「どうなったら回復したと思えますか?」「どんな自分になれたら良いですか?」と尋ね、

それを目標として取り組むことがあります。

 

心理士それぞれでやり方は異なり、必ずこれを聞く人もいれば、そうではない人もいます。

 

私は、聞かないことも多いですが、

「良くなった面に目がいかなくて“もう良くならないんじゃないか”と希望を失いそうになっているとき」がきたら使うために、

前もって聞いていることがあります。

 

ただ、精神疾患の場合、ご本人も「どうなったら良いか分からない状態」も多いですし、

かつ「こうなったら回復」という基準は経過と共に変化します。

 

なので、1回思った「解決イメージ」に固執することはないです。

実際「こないだお話ししていた解決像になったから回復しましたね」ということで終わるほど、簡単ではないですよね。

 

大事なポイントは、苦しい中でも希望を失わずに、

しっかりと「自分は進んでいるんだ」と実感するために重要な視点だということだと思います。

 

精神疾患ですとそれなりの期間がかかります。

その期間、せっかくですから、病気だけでなく、

「今まで気付かなかった自分のリソース」に気付いていける期間にもできたら

とても素晴らしいのではないかと思います。

 

例外の発見

解決志向アプローチの代表的な手法としてもう一つ、

「例外の発見」があります。

 

「例外の発見」とは、まさに言葉通り「そうではなかった場合」を見つける手法です。

 

例えば、慢性的な不眠症に悩んでいる場合、

多くは「眠れなかった日」に注目し、

その「眠れなかったとき」に「何があっただろう?」「何をしなかっただろう?」と「できなかった原因探し」をしがちです。

そのことももちろん意味があると思います。

 

ただ、どうしても「うまくいかなかったとき」ばかりに関心が向きがちで、

そうすると自信を失い気持ちも沈んでしまいます

 

「例外の発見」は、「例外的にうまくいったとき」に注目します。

 

不眠症の例では、「眠れた日」「ぐっすりとまでいかなくても比較的よく眠れた日」を取り上げます。

そして、「その日、どんなことがあったか。なかったか」を振り返ります。

「うまくいったとき」を振り返るので、仮に特に何もなかったとしても嫌な思いはしないで済むことが、この手法のメリットだと感じています。

 

もしここで、何かヒントが見つかったら、それを拡大させていけるように試みます

 

子どもに有効

「例外の発見」は、子どもの不適応や問題行動の際に特に有効であると思います。

例えば、いつも落ち着きがないことで悩んでいた場合、

その子が「落ち着かなくなる場面」を検討することはとても大事です。

ただ、それだけですとどうしてもその子の自信を育てることが難しくなりがちです。

なので「例外の発見」によって、「落ち着いていたとき」を見逃さずに、

そのときに何があって何がなかったのか探してあげることは、その子にポジティブに作用すると思います。

 

リソースを引き出す

他者が誰かにできることは、その人の能力の発見なのかもしれません。

特に、悩みや不安を抱えやすかったり、不適応状態になってしまっていると、

自分ではどうしても、自分のことを否定的に見てしまいます

 

なので、その人が持っているリソースを伝えることは他者ができるサポートの1つなのだろうと思います。

 

悩んでいるときは「どうしようどうしよう」となり、将来を想像できなくなっていることが多いです。

また、「本来どんな自分を目指していたのか」を見失っていることがあります。

 

そんなとき、ミラクル・クエスチョンを問うてあげることで、問題の原因ではなく、

問題が解決した状態をリアルにイメージできる助けになります。

 

「例外の発見」をすることで、「いつもできない」と思っていたことがそうではなく、

「できるんだ」という自信を取り戻せ

自分に合う環境とはどんな場所なのかに気付くことができる材料になります。

 

 

そしてなにより、困っている相手が、責められたと思うこともなくネガティブなことを過剰に掘り下げられてしまうこともなく、

ただポジティブな部分に焦点が当てられていくので、

話をする方も聞く方も元気になっていける会話術だと思います。

 

唯一気をつけるとしたら「ポジティブの押し売り」にならないように、ということかなと思っています。

 

ブリーフ・セラピーは、精神疾患や状態が重い場合にはそのまま使用するのは難しいと思います。

けれど、エッセンスとしてはとても有効ですし、

カウンセラーとしては、その視点はいつも忘れずに持っているほど大事だと思っています。

そして「リソースの発見」は、カウンセリングの大きな役目の1つだと思っています。

 

酷い状態なときほど「ネガティブなことで占められてしまう」ものです。

そんなときに、プラスの側面をチラっとでも見つけられたら、か細くても心に光が差すことがあります。

 

自分では見つけられなくても、信頼できる人に聞いてみてもいいかもしれません。

 

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皆さまの一押しごとに寝子が自分のリソースを発見して喜びます!!

 

 

今回は、日常会話にも使える心理技法をご紹介しました!

「解決志向アプローチ②」の記事では別の技法をご紹介しています。

ご興味があればこちらもぜひ!

 

今日も最後までお読みいただいて本当にありがとうございます。

またお越しいただけることを心待ちにしておりますm(__)m

 

 

 

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