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病気のお話 発達障害

【発達障害】:ASDの3つの特徴  前編:①嫌なことを忘れられない

2021年3月1日

発達障害の1つ、ASD(自閉スペクトラム障害)の代表的な特徴は、

「対人関係が苦手」「急な予定の変更にとまどう」「こだわりが強い」

などが代表的な症状となっています。

少し前まで知的障害を伴わない自閉症は「アスペルガー障害」という名称であったため、

「アスペ」と省略して「空気がよめない」と広まったこともありましたね。

現在は診断基準と診断名が変わりASD(自閉スペクトラム障害)となっています。

 

メモ

「スペクトラム」とは「連続体」という意味です。

発達障害は程度(量)で障害域かどうかが判断されますが、

それゆえに「ここから障害!」とくっきり線を引くことが難しいこと、

またそのような線引きに意味がないという学びから、「特徴を連続でみよう」、

言い換えればグラデーションで捉えようという意味をもっています。

 

ASDの3つの特徴

ここでは、ASDの特徴を3つに絞って理解していきたいと思います。

ポイント

ASDの3つの特徴

①嫌なことを忘れることができない

②想像力の問題(あいまいさが苦手)

③感覚過敏

では、1つずつ見ています。

 

① 嫌なことを忘れることができない

これは「忘れることの障害」とも呼ばれ、

ASDの代表的な特徴ですが、世の中にはあまり知られていませんよね。

ドラマや映画で、ものすごく記憶力の良い自閉症の人が描かれることがありますが、

現実には、記憶力がいいということは、

本人にとって「嫌なことがいつまでも忘れられない」というとてもツライ性質なのです。

 

この「嫌なことを忘れられない」という特徴は、

ご本人だけでなく、ぜひご家族や周囲の方々に知っておいてほしい特徴です。

どうしてかというと、過去の嫌なことがたびたび思い出されてしまったときに、

周りの人から「いつまで根に持っているんだ」「終わったことを言っても仕方がない」

と言われて更に傷ついてしまい、

更に新しい「嫌なこと」としてまた記憶に残ってしまうからです・・・。

 

加えて、この「忘れることができない」という苦しみへの直接的に有効な治療法はないのが現状です。

ただ、「嫌なことを忘れられないこともASDの特徴なんだ」と知っていると、

不要に傷つけ合うことが減るのではないかと思います。

 

対処のポイントはご本人も周囲の人も「なんとかしようと焦らないこと」だと思っています。

話をきいたときに「なんとか気持ちを軽くしないと!」と思っていると、

焦りが返って傷口を広げてしまう気がしています。

 

できれば、話すほうは「また思い出しちゃったんだけど、ただ聞いて欲しい」

と伝えながら話すと聞いてもらいやすいかもしれません。

聞く方は、真剣になり過ぎなくていいと思います。

こういうと誤解がありそうですが、軽んじるということではなく、

誰かの心の痛みを聞くというのはなかなかエネルギーがいります。

だから、あまり力み過ぎると聞けなくなっちゃう。

そして、力みすぎると焦ってしまって、善意であっても傷つけてしまうことが増えてしまう…。

なので、「どうしようもできないことだけど、話して少し軽くなるなら」くらいな気持ちで、

なんとかしようと思わずに受け止めてあげられたらベストだなと思います。

 

本人は思い出したことを吐き出したいと思いますので、話してくれたらただ聞く。

ご本人は、「ああ、また思い出したな」と思うことで痛みと少し距離を取れる。

誰かに話すことができない場合の方が多いでしょうから、

そういうときはあまり深追いせず、「また思い出した。いやだな」と思いつつ、

そのときやるべきことを続けましょう。

「歩く」などの動作は、意識的に少し速く行うと、

気持ちが少し切り替えやすくなるといわれています。

 

嫌なことを忘れられないというのは本当にしんどいことです・・・。

なのでせめて、それが原因で誰かと疎遠になってしまったり、

さらに傷つけ合ったりすることは防ぎたいなと思います。

 

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次回、あと2つの特徴「想像力の問題と感覚過敏」についてまとめます!

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