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トラウマ 心理豆知識 性被害サバイバーの1事例

ある性被害サバイバーの話⑭ ~トラウマと依存症~

2021年3月31日

「ある性被害サバイバーの話」を最初からお読みいただくときはこちら

前回の記事はこちら

 

今回は、私の事例の振り返りを少し離れて、

トラウマに関連が深い依存症について簡単にまとめます。

 

これまでのまとめ

前回の記事のように、いくつもの症状が絡み合って出ることは少なくありません。

ここで、私の事例だけでなく、多くの方に見受けられる傾向ついて簡単に触れたいと思います。

 

トラウマと依存症

これまで私の「向精神薬依存」について書いていますが、

トラウマと依存症は密接な関係があります。

もっとも多いケースは過食かなと臨床経験上は思います。嘔吐が伴うかどうかはさておき、

過食は「自分のことを嫌いになっていく過程で発症する」と水島広子先生がおっしゃっており、深く納得します。

他にも、「食べる」ことは唯一無心になれる点や、幸せホルモンが分泌されることや、

「心が飢餓状態であると食べることだけで飢えをしのごうとする」という無意識的作用も指摘されています。

 

また、リストカットなどの自傷行為もある種の依存的行動と捉えることができるかと思います。

 

「依存は甘え」という思いが患者さんに強く、

PTSD含むトラウマに関する治療の際、なかなか言い出せなかったり、

逆にトラウマテッィクな出来事は言わずに「過食をやめたい」等とおっしゃることが多いです。

クライエントさんに関わるときには、

何らかの依存がある方には「トラウマティックな出来事がなかったか。あるいは機能不全的な家庭で育ったのではないか」という可能性を考えること、

トラウマを訴えた方には、「過去あるいは現在、何かに依存して苦しんでいないか」ということを頭に入れておくことは大切かなと思います。

 

そして、「依存は甘えや逃げではなく、ものすごくツライ出来事の中、必死に生きようとした対処」なのだと理解していきたいと思います。

 

何かに依存することはそのとき生きるために必要であることがほとんどです。

ただ、依存が深くなるほど本人の苦しみは増え、新たなトラウマを生み、周囲の理解が得られずにさらに孤立してしまうことになる

放っておいていいものではないですよね。。

でも、生きる1つの手段ですし、コントロールできなくなっていますから、

そう簡単に抜け出せないこともおかしなことではなく、

支援者や周囲の人は長期的に寛容さをもって共に取り組んでいく必要があります。

 

依存症はそれだけをいきなり取ろうとしてもダメ 

誰でも軽度で考えれば「止められない」ことがあると思います。

「甘いものを食べるのが止められない」とか「ゲーム課金がやめられない」とか。

そんなときに、ただただそのことのみを取り上げて「止めましょう」といっても止められないですよね。

余計にストレスフルになるだけです。

それが依存状態ともなれば、ただ「止めましょう」なんて愚問ですね。

 

なので、ご本人に合わせた「依存を軽減しようと取り組めそうな納得や環境」を作っていくことが重要だと思っています。

「納得」とは、「心理教育」とも言い換えることができるのですが、その依存が自分を苦しめていることを理解していく。

これが可能になる段階は、「良くなりたい」という気持ちになっていることが必要ですね。

そして「環境」ですが、やはり1人で、他の対処法もなくただ「止めろ」と言ってもできなくて当然です。

なので、家族などの理解が得られたら得る必要がありますし、

例えば生活の中身に日課を加えたほうが防げそうならディケアに通いながら整えていくなど、

いくつもアプローチ方法はあります。

 

最も大事なことは、本人も周囲も、依存を「自分のせい」と思わないこと。

 

これはとても難しいのですが、

医師や心理士が何度も丁寧に論理的に依存のメカニズムの説明を行い、

本人の心の傷への共感的理解を繰り返すことで可能になっていけると思います。

例えば、何かに対する「依存」を「持病」だと捉えてみる。

頭痛持ちの人が何らかの治療を行って軽くなっていくときに、

ときどきは頭痛が起きますよね。

依存も同じことが言えます。

いきなりゼロにすることはできなくて当然です。

 

「依存は自分のせいではない」と思える段階に来たら、自然と自分を大事に思えるようになっています。

そうすると依存から脱しようとするパワーも出てくる。

正直なところ、やっぱりご本人の根本的な尊厳を取り戻すことがなによりも先決なのだと思います。

 

服薬は誰かの前で

話が服薬に戻りますが、服薬の際、向精神薬だけではなく、どのような薬でも、

「誰かに言いながら服薬することは回復を促進する」と言われています。

具体的には、「家族の前で飲む」、「ツイッターで『夜のお薬飲みました!』と宣言する」などです。

たった一人で服薬するよりも、誰かが見ている・知っている状態で服薬していくほうが治療効果が高いそうです。

このことを知ったとき、薬物依存だった私は「それは確かにそうだなぁ」と感覚的にも納得しました。

私は1人で飲んでいたから、誰も知らなかったから依存が悪化していった面はあったと思います。

いつも処方量を守れている場合は特に気にしなくて大丈夫かと思います。

 

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今回は、トラウマと関連が深い依存症について簡単に述べました。

今回の記事に書ききれなかった依存症の怖さ等について、

もう少し掘り下げた「ある性被害サバイバーの話⑱~依存症に苦しむ方へ~」もございます。

私のケースにおける向精神薬依存からの回復に関する詳細はこちら

 

次回は、事例の続き、大学4年の後半「大学病院を紹介される」です。続きはこちら

 

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