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心理士の裏話 心理雑談

「傾聴」に対する誤解 ~認知行動療法には負けないぞ!~

2022年6月24日

 

このブログをよく読んでくださっている方はご存知の通り、

私は1月から突然の激痛に見舞われて仕事ができなくなってしまいました。。

 

当然ながら、心理士の研修なども受けることができませんでした。

 

そこから生還し(笑)

 

こないだの週末に半年ぶりに研修を受けました~!

 

「いや~久しぶりだなぁ~」

 

なんて思って、自宅から。

 

コロナになって心理士の学会や研修会もほぼ全てオンラインになっています。

 

そのとき受けた研修が、非常に勉強になったと同時に、

私がずっと思っていたことを講師の先生がはっきりと言語化してくださったので、ブログに書きたくなりました。

 

ということで、今日は心理の世界の雑談的なお話です。

 

 

心理業界に対する寝子の不満も一方的に書いていますので笑、

 

特に認知行動療法を支持していらっしゃる場合は読まないで。。読んでも怒らないで(懇願)。。

 

ということを前置きしつつ笑、テキトーに綴っていきたいと思います!

 

オリエンテーション

心理の世界では「オリエンテーションはなんですか?」と聞かれることがあります。

 

オリエンテーションとは、「寄って立つ理論」を意味していて、「どこの学派ですか?」にやや近い問いです。

 

昔は「学派」が強かったようですが、今はゆるんで、「さまざまな学派や療法を習得し、クライエントによって使い分けましょう」的な流れになっています。

 

なので、今「オリエンテーションはなんですか?」と聞かれたら、

それは「クライエントに用いる心理手法は主になんですか?」ということを問われているのだと思います。

 

就職のときに

「オリエンテーションはなんですか?」

 

…この質問、心理士同士のただの自己紹介的なものだったら自由に答えて全然いいんですけど、

 

就職の面接で聞かれるんです。。

 

心理職の採用面接で面接官に「オリエンテーションはなんですか?」って聞かれたときに、どう答えるべきか。。。

 

もちろん正直に支持するものを答えればいいんですけども…

 

 

採用されたかったら、正解があると思っています。

 

 

それは

 

「認知行動療法」!!!!

 

からの

 

「統合的心理療法」!!!(完璧w)

 

 

心理職の採用面接でオリエンテーションを聞かれたら

 

認知行動療法をベースとした統合的心理療法

 

です!(キリッ)」

 

と答えると、ほぼ採用されると私は思っていますwww

 

私の場合

…問題はね、私は認知行動療法がオリエンテーションではない、ということです(爆)

 

あ、なので、採用面接でも「認知行動療法がオリエンテーション」と言ったことはありません。

 

でも、心理職ならお分かりのとおり、認知行動療法(CBT)はカウンセリングで使用しますよね。

CBTを専門にしている人からは「そんなのCBTじゃない」等と思われるかもしれませんが、CBTの研修を受け、勉強し、使用するケースがほとんどだと思います。

 

加えて、最近は新しい心理療法のほとんど全てが「認知行動療法」に区分されるようになっています。

(個人的には、それらはCBTではなく「統合的心理療法」とか、何か別の新しい名前で括ればいいじゃん…と思っている。。)

 

なので、オリエンテーションがCBTじゃなくとも、CBTを学ばないとならないのが現状で、

区分はどうあれ、それはスキル向上のために必要なことだと思います。

 

 

…話がそれましたが、つまり、

 

 

認知行動療法じゃないとダメだよね~

 

 

的な空気があるんですよ、マジで。

 

 

それで、さっきの採用面接の話にもどると、

オリエンテーションがCBTじゃなくとも、CBTはとても網羅できないほど多様な療法が存在するから、

CBTに分類される特定の心理療法ならできるとか、

CBTの要素は一般的な対話によるカウンセリングでも使用するとか、

少なからずCBTは臨床で扱っているんですよね。

 

なので、「オリエンテーションはCBTじゃない」というだけで、全く使用しないとか、そういうことではないんですよね。。

 

逆に、CBTを支持基盤にしている場合でも、来談者中心療法も精神分析も取り入れているでしょう。

 

それでも、とにかく「認知行動療法」を前面に出した方がウケがいいのが現実です。。

 

なので、採用されたかったらオリエンテーションは

 

「認知行動療法をベースにした統合的心理療法です(キリッ)」

 

って言えば、きっと採用されるはずwww

 

来談者中心療法(ロジャース)

えっと、そうなんですけど、やっぱウソってつきにくいじゃないですか?

 

あと、私の中での意地みたいなものがあって、

面接でオリエンテーションや得意な心理療法を聞かれたとき、認知行動療法と答えてはこなかったです。

 

「ロジャースです(小声)」

 

と答えていました。

 

でもね、答えている私自身が

「ああ、認知行動療法って言った方がいいんだろうな…」

「“ロジャース?つかえねー”って思われたかな…」

等と不安になって、自信なさげにウジウジし出すという面接が過去にありました。

 

しかも、「ロジャース」って言うと、たいてい面接官のほうから

「認知行動療法はやられないんですか?」って聞いてくるんですよ。

 

(「だったら、最初から“オリエンテーションは?”じゃなくて“認知行動療法できますか?”って聞けよ…」と毒づいてしまいたくなりますが、ぐっと我慢。。。)

 

だからそこで、フォローしてました。

「○○や△△などの認知行動療法(CBT)は用います。またCBTのエッセンスはカウンセリングの対話の中に常に取り入れられるようにしています」というような感じで。

 

 

…しかし、悔しい…

 

 

ロジャースは、全ての学派のベースではないのですかあぁああぁああぁあああ!!!!

 

CBTが「エビデンスエビデンス」と自慢するけれど、

そのエビデンスのベースにはロジャースの態度があって成り立つのではないですかあぁあぁああぁああぁ!!!!!!

 

「ロジャースは使えない」みたいな、なんすか!この風潮!!(雄叫び)

 

採用面接の体験談

実際、過去の採用面接で私が「ロジャースです」と答えたら、

面接官に「それではトラウマは良くならないのでは?」と言われたので、そのご意見は肯定的に受け止めた上で(だってこちらは応募者なので)、

 

「受容的態度を最も大切にしているということであります」みたいな返答したら

「受容的じゃないカウンセリングなんてないでしょ」と返されたことがありました。

 

 

…以下、寝子の雄叫び…

 

「受容的じゃないカウンセリング」はあるだろうがぁ!!!!!

 

それで患者さんが「嫌な思いをした」「せっかくカウンセリングに行ったのに傷ついた」って体験を聞くじゃないか!!!!!

 

「カウンセリングの場=受容できている」なんて大間違いだ!!!!

 

 

そちらこそ、「受容」「共感」「傾聴」を本当に理解しているのですかぁあぁああ?!!

 

 

…と、

心の中ではすごく憤りながらもその場では「はぁ、そうですね…」としか返せなかったヘタレです…

 

ちなみにこの面接の職場は、直後に辞退しました。

 

患者さんからも

心理職の採用面接のときだけではなく、もっと心にグサッとくるのは、

臨床場面でも患者さんから「傾聴だけは止めて欲しい」と聞く事が多いことです。

 

私は初回面接時に、それまで他所でカウンセリングを受けた経験がある方には「これまで受けたカウンセリングで良かった対応や嫌だったことは何かありますか?」とお聞きすることが多いです。

 

そのときに「傾聴だけは意味が無いから止めて欲しい」

「ただ黙って聞かれても仕方ない。何かアドバイスとか整理できる言葉が欲しい」

と言われる方が本当に多いのです。

 

そういうクライエントさんの体験を伺うたびに「それは傾聴じゃないよなぁ…」と心の中でなんともいえない申し訳ない気持ちになります。。

 

「傾聴」の誤解

でも、理解できるんです。

ロジャースの来談者中心療法は、一般的な(もしや心理業界や精神科医業界でも)イメージは、

 

黙って優しく話を聴く

 

だけ

 

になっているんだと思います。

 

そして「黙って優しく話を聴く(だけ)」をロジャースのいう「傾聴」だと誤解されてしまっているのだと思います。

 

この誤解は、「アドバイスはしない」「共感する」が強調され過ぎていることや、

ロジャースの意味するカウンセリングをマニュアル化することが難しい(マイクロカウンセリングとかいろいろ試みられているけれど、いまいちパッとしない…爆)

 

さらに、専門家ではない人たちが支援する際に格となって指導されるものがロジャースの来談者中心療法で、

深い理解をなしに使用されてしまっていることも誤解の一因になっていると思います。

 

 

「黙って話しを聴くだけ」は傾聴ではありません!

 

相手の言ったことをオウム返しにすることも、傾聴ではありません!!

 

相手の言ったことを何も言わずに肯定することが受容でも共感でもありません!!!

 

「“傾聴”の教えが間違っている」

それで、冒頭の研修会の話に戻ります。

 

今回の講師の先生は人間性心理学、ロジャースをベースとされている方でした。

 

非常に穏やかで明瞭な話し方で聞き入っていましたが、その先生が途中、「傾聴の誤解」に触れ、その原因を

 

「“傾聴”の教えが間違っているから」

 

とやや力を入れておっしゃったのです。

 

 

まさに!!!!!!

「100いいね」!!!!

 

続けて

 

「黙って熱心に聴くことが傾聴ではない」

 

「傾聴とは、相互内省的な対話のプロセス」

 

という定義を改めて示してくださいました。

 

「黙って聴くのではなく、カウンセラー側は自分がどう受け取っているか返し、確認するというリフレクションが重要だか、それが抜けている」

 

「1000いいね」!!!!!

 

 

だいたい、クライエント側だけがずっと話していてカウンセラーはほとんど話さないって言うのは対話ではない。

それが有効なら、AIでいい。AIじゃなく、生身の人間が聴くことに治療効果があるのだということがどういうことか考えて活かさなければいけない。

 

カウンセラー側の要因

また、どの心理技法を使うかというとき、その心理技法だけで成り立つものではないと感じます。

 

カウンセリングの場は、クライエントのためのものですが、そこに居る「カウンセラー側の要因」が作用します。

精神分析のサリヴァンが言うとおり「中立で客観的なんて不可能」なのです。

 

それはつまり、特定の手法を機械的に用いることは不可能

あるいは、気持ちを入れない療法は意味がないともいえるのではないかと思います。

 

カウンセラー側の気概

認知行動療法は「困っている症状を明らかに軽減できる」という強い魅力を持っています。

治療目標は「症状」と明白で、

 

来談者中心療法の「自己一致」や精神分析の「無意識」みたいなあいまいさがなく、具体的で説得力がある。

 

私自身も心理士の卵だったときは、ロジャースよりフロイトより認知行動療法に一番魅かれました。

その有効性はわざわざ私が言うまでもありません。

 

ただ、認知行動療法が効果をあげる要因の1つには、

「カウンセラーの熱意」があるのではないかと思っています。

 

認知行動療法をオリエンテーションとして結果を出されている心理士の方々のほとんどは「認知行動療法は素晴らしい!」という熱意を持って取り組んでいらっしゃると感じます。

あるいは、「この病気を治したい」という熱意であることもあると思います。

 

その熱意や、療法に対する自信がクライエントさんにも伝わって、相乗効果となっているのだろうと思います。

 

 

私が自己理解を何よりも重要視することと同じように!!!

 

 

何が言いたいかというと、どんな療法もクライエントさんとの相互作用であり、

カウンセラー側が「この療法に個人的には何の魅力も感じてないけど、有効らしいからとりあえず使ってる」というのでは、効果があがらないのではないかと私は考えています。

 

「エビデンスがあるから」「“アドバイスはしない”と教わったから」「流行だから」等というようなエネルギーでは、

せっかくの有効な支援法も返って害になってしまうことがあるかもしれないなと思います。

 

押し付けず、でも、カウンセラーも使用する療法に魅力を感じてやっていきたいと思います。

 

扱いたいもの

話がまとまっていませんが汗、

 

「カウンセラー側の要因」の続きで、

「カウンセラーがどの療法に魅かれるか」という側面だけでなく「何を扱いたいか」という関心の方向もあると思っています。

 

私は当初はPTSDの治療に当然ながら魅かれ、特にPE(持続型エクスポージャー)を知ったときには、そのエビデンスに驚き、小西先生や金先生の研修会を受けまくって、臨床でも頻繁に活用した時期がありました。

 

ただ、私自身は、「PTSD」などのなんらかの特定の病気に特別の関心を持ってはいないのだと気づきました。

加えて、正直なところ、特定の療法にも特別に魅かれていくことはありませんでした。

 

何かの病気や障害、特定の心理療法に特化する心理士というのは、まさしく専門家であって、尊敬しております。

その高度な専門性によって救われる方々がたくさんいることは言うまでもありません。

 

…ただ、一方で、特定の病や療法に限定するということは、そこに当てはまらない方々は対処できないということでもあるのです…。

 

でも、その人たちも心理支援が必要です。

 

心理士としての私は、「来た人をできるだけ漏れなく対応したい」という思いが最も強いことに、臨床を重ねる中で気づきました。

 

心理業界の空気

心理の世界では、認知行動療法を始めとする「○○療法」をやっています、というのでないと、

なぜか引け目を感じる雰囲気があります。

 

「傾聴が専門です」なんて、言えたものではないのです…。

 

そんな空気のために、カウンセラー側の「何かできている感」が満たされるために、それこそ中途半端な知識や気持ちでCBTを使用していることもあるでしょう。

 

でも、おかしいと思っています。

 

「○○療法」というわけではなく、「対話によるカウンセリング」だって高度な専門性とスキルを要します

 

その核となる「傾聴」は、多くの人の助けになり、正しく用いれば病気も治します。

 

特定の療法には抵抗があったり用いることができないケースにも広く対応ができます。

 

認知行動療法そのものは本当に素晴らしい。

でも、どうして、それ以外だと言いにくいような風土になっているのだろう。。

横並びのはずの各技法に、ヒエラルキーができてしまっているのだろう。。

 

そういう不満を感じていました。。

 

でも胸をはって主張できない自分がいました。

 

そんなモヤモヤした気持ちが今回の研修のおかげで、気持ちを新たにできました。

 

「オリエンテーションはロジャースです!」という決意

ということで、

 

私は!

今後は!

 

「オリエンテーションはロジャースです!(ドヤッ)」

 

「最も用いる技法は“傾聴”です!」

 

とモジモジせずに

嬉々として宣言しようという決意にいたりました!!

 

それを「黙って話を聴くだけだと良くならない」と思うのならば、それは誤解だ!!!

 

 

 

と、表明していこうと思いますw

 

 

そして、私こそ「受容」「共感」「傾聴」がどこか浅はかになってはいないか、反省する機会になり、改めて(「フロイトへの回帰」ならぬ)「ロジャースへの回帰」をしていこうと気持ちを新たにできました。

 

講師の先生、ありがとうございました!!!

 

 

 

あ、最後に、

 

今、誰かに勧めたい推しは

 

精神分析

 

です!!

 

と、全く触れなかった精神分析に敬意を称して終わりにしたいと思います!

(本当に、精神分析は学ぶほどに奥が深くて、とてつもなく臨床に役立ちますね)

 

 

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いつも本当にありがとうございます!!

 

 

 

私のモヤモヤや雄叫びにお付き合いくださってありがとうございましたm(__)m

 

暑くなってまいりましたので、熱中症にはくれぐれもお気をつけください。。

また覗きにきてくださいね♪

 

 

 

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